リレーコラムについて

生まれる前のこと

中里耕平

たとえば戦略チームが一週間ぐらい前から走り始めていて、
追って我々クリエイティブがアサインされたようなとき。

Teamsのグループチャットに後からぼくらが追加されて、
「それまでの履歴も含めて共有」されることがあります。

その過去のやりとりを遡った時、不思議な気持ちになります。
自分が生まれる前の世界を見ているような感じというか。
かつて、たしかに、こういう場所があった。
知っている人たちが話している。
だけどぼくはそこにはいなかった。という感じ。

そういう感覚に、昔から敏感だった気がします。
自分が生まれるちょっと前ぐらいの世界に
子どもの頃から異様に興味があるのです。
(ややこじつけの匂いが早くもしてきましたが、気のせいです)

具体的には、ぼくは1970年代末の生まれですが、
70年代初頭とかの文化が妙に昔から好きです。

ちょうどぼくが小学生の頃にレトロブームがあって、
「テレビ探偵団」みたいな番組もあったし、
「懐かしのテレビアニメ」的な番組も多い時期だったのです。
その手の番組を好んで録画して何度も見ていました。
懐かしい世代向けの番組を、懐かしくもない小学生が。

こうして同世代が知らないちょい古めのTV番組とか歌謡曲とかを
やたらと吸収しながら生きてきました。

これが、20代ぐらいの頃はけっこう面白がられたりもするのです。
「きみ、その年齢でよくそんなこと知ってるねー!」的に。

お笑いマンガ道場という、マンガで大喜利をする番組がありました。
ぼくが見ていたのは番組後期で、女性出演者でいうと「川島なお美」や「森山祐子」の時代。
でも、初期には「エバ」という人が長らく出ていて、
上の世代にとってはマンガ道場の女性といえばエバらしい、ということもよく知っています。
なので、10歳ぐらい上の人と話していると、
「え、きみ、その若さでよくエバを知ってるねー!」となったのです。
(昔は、人と会えばとかくお笑いマンガ道場の話題になるものだったのです。…うそ。)

そんな調子でやってきたのですが、問題が起きます。
ぼくが歳をとってきたのです。

会社でも年次が上がってきて、後輩と接することの方が増えてきた。
そうすると、何が起こるか。
2000年生まれの人にとっては、
1972年のことも、1978年のことも、1985年のことも、
ひとまとめに「けっこう古いこと」でしかないのです!

ぼくが「関根勤はぎんざNOW!のしろうとコメディアン道場の初代チャンピオンで…」と言えば、
上の世代からは「よくその歳でそんなこと知ってるね」だったのが、
若い世代からは、古い人が古い話をしてるだけ、になってしまうのです!
おそろしいシステムです!!
(それにしてもなぜ昭和のTVには「道場」が多いのか…)

これからぼくと仕事をする若手のみなさん。
ぼくが右のほっぺをかきながらする古い話は、ただの1977年生まれの人の思い出話。
でも、左のほっぺをかきながらする古い話は、「それ生まれる前じゃないですか?」案件ですので!

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