リレーコラムについて

まいりました

武藤雄一

まいりました。僕を紹介してくれた鵜澤さんには、
本当にまいりました。以下の文が、僕を紹介するにあたり、
鵜澤さんが先週書いてくれたものです。
「さて、来週は、フリーのコピーライターの武藤雄一さん
です。まるで、青春ドラマの先生のような熱血漢。コピー
大好き人間です。それだけに先週バトンを渡すことを伝え
たんですがこの一週間、ものすごい考えに考え眠れず、
七転八倒して構想を練っていたと思います。では武藤さん。
僕もそしてみなさんも楽しみにしています」
どうですか、この文章。僕はもうダメです。
僕は、もともと期待に応えようとしてしまうたちで、
しかも、そのことに必死になるがゆえに結局のところいつも
すべってしまうんです。僕は自分で自分のことを熱血漢などと
思ったこともないし、TCCの会員のみなさんの前で胸を堂々と
張って「コピー大好きです」などと言える根拠も自信もありま
せん。しかしあんなふうに紹介をされてしまうと、リレーコラムの中の武藤という人間はやっぱりどうしても、熱血漢で、
コピー大好き人間にならなくてはいけないんじゃないか。という気持ちがふつふつとわいてきて、なぜか今TCC年鑑を数冊机の上に置き、数カ月ぶりにじっくりと見直しています。
そして、これから行くとある広告代理店での打ち合わせで
「もっと世の中と向き合った広告をやりませんか」と声をあらげたくなってきました。いや、あらげたい!そして泣きたい。そして広告代理店の人と抱き合いたい。すぐに、その気になってしまうのです。TCCの新人賞受賞の言葉もそうでした。キャッチコピーは「病院で生まれない。病院で死なない。アジア。」です。このポスターはカメラマンの大久保さんの写真展のものですが、大久保さんが死にかけながらでも6カ月以上アジアをまわって撮っ
てきた大切な写真展のコピーです。このコピーができるまでには、深い深い感動的なエピソードがあって、僕がコピーライターになってからずーっと憧れていた受賞の言葉には、そのコピーができるまでの話をしっとりと書きたかったんです。しかし、「受賞の言葉」の締め切り前日に打ち合わせをしたあるCDが「やっぱ
りさ、いつもの武藤さんぽく短い言葉でさ面白おかしくズバッといったら、もう、お涙頂戴の受賞の言葉は古いよ」と言われた言葉で、確かにそうだ。そう思って書いた受賞の言葉が「バンザイ100回。」大不評です。ちなにみリレーコラムも時々読んでいて、「僕が出たら1回目は、こんな文章を書こうかな」という構想は前々からあったんです。本当はもっと短い文章で、もっとシャープで、もっとクールで、読んでる人が、「このコラムを書いてる武藤さんてどんな人なんだろう」と思わず会いたくなってしまうような。そんな文章を考えていたんです。しかし鵜沢さんの紹介のおかげでこんな長い第一回目の文章になってしまいました。
でも、本当は鵜澤さんのせいではありません。
鵜澤さんの文章に動揺したぼくのせいです。
長い自己紹介になりましたが武藤雄一とは、
こんな人間です。たぶん。

NO
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