リレーコラムについて

甘酸っぱい気持ちにならなかったはなし

岡田文章

昨晩、得意先とイメージを共有するための資料映像をつないでおりました。
と、若いプロデューサーが、いくつか用意してくださってた素材の中から、「いやーたまらんわー、いやー、たまらんわー」といやなテンションを添えながら見せてくれた、10年ほど前の人気恋愛ドラマのワンシーン。
内容は、砂浜で男女の大学生が、好きだとか、好きじゃないとか、大きな声で叫んでいる、そんな感じ。
「たまらん気持ちに、甘酸っぱい気持ちに、なりますわー」
ええっと…ショックを受けました。仕事中だというのにノリを間違えているプロデューサーに、ではなく、あの、まったく甘酸っぱい気持ちに、ならなかった自分に、です。
そういうグッとくる思い出が皆無だから、っていうのも当然あるのでしょうが、
そういうレベルではなく、完全に「自分ごと化」されなかった。
「好きだー」と叫ぶ男性に、自分の姿をちょっと前までは見れてたはずなんです。
そんなことしたことないんですけど、そんなことしたかもしれないかもしれないかもしれない「錯覚」に陥ることが、出来たはずなんです。
が。気付いたら40手前。
20年。甘酸っぱい気持ちになるにはあまりに時間が経ちすぎました。
感情が、無。

あと、数年経ったら、今度は、「好きだー」に動揺する女性に、娘の姿をみるようになって、嫌な気持ちに苛まれたりするのでしょうか。
…あ、ちょっといやな気持ちに。
感情がいまここに、生まれましたよみなさんー!

てなことで。
一週間、カルピスの味をすっかり忘れたおっさんの駄文に、八年ぶりにお付き合いください。

こんな感じでよろしかったですか?吉岡最高新人賞さま。

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