リレーコラムについて

最終回について。

川村聡

みなさん、こんにちは。カワムラ広告制作所の川村です。

さて、うだうだと続いてきた私のコラムも、いよいよ今日が最終回です。ふう〜。
間の悪いことに、今週の私は今年はじまって以来の忙しい一週間でした。今だから言えますが、コラムなんぞ書いてる場合じゃねーぞ、オラオラー、ってなぐらいのスケジューリングだったのです。でも、なんとか成し遂げました。(エライぞ! と誰もほめてくれないので自分で自分に。)
6日も毎日書けるのか、という危惧もありましたが、結構書くことなんぞはその辺にころがっているものでございます。
これからこのコラムを書くことになるかもしれないあなた、ご安心ください。大丈夫、書けます。

で、今日が最終回。(ジ〜ン)
というわけで、最終回について書こうと思います。

なにかにつけて最終回というものは感動的なもんです。思わず涙をさそう、というのが定番になっています。
しかし私は、読み物や映画やドラマで涙したことが全くといっていいほどありません。(血も涙もない冷血な人間、というわけではないと思うのですが)
なんかこう感情移入できないのです。
子供にせがまれて、しぶしぶポケモンの映画を見に行き、平静を保っている子供の横で、感動のあまり父親という立場をを忘れ、おろおろと泣いてしまったという知人がいます。
私にはアンビリーバブルです。

そんな私が唯一涙した最終回があります。
知る人ぞ知る感動のフィナーレ、アニメ「ハクション大魔王」の最終回です。(笑わないでください)
これは泣いた。わんわん泣きました。再放送でも泣いた。再々放送でも号泣しました。
ひとしきり泣いた後、嗚咽がおさまったころに、なぜ感涙をさそわれたのか、という事を考察してみました。
まず、これは大変ずるい(適切な形容ではないかも)設定なのです。そもそも、ハクション大魔王はとぼけたギャグアニメです。あ、20代前半の方々はご存じないかもしれませんね。知らない人は、ドラえもんをもう少し低俗にした感じのアニメとお考えください。そう、感動とか悲壮とか失望とか無念、などといった感覚からは無縁の、すっとぼけたアニメなのです。当然、観る側も軽い気持ちでブラウン管に向かいます。
そこ、ですね。涙腺が無防備になっているわけです。で、魔王が(これ主人公です)去っていってしまうという非現実的な出来事とのギャップにやられてしまう。観る側の頭の中には、今までのとぼけたシーンが走馬燈のようにオーバーラップし、最終回とのギャップに苛まれるわけです。そう、悲しみとか感動とかには、このギャップが効いてるケースが往々にしてあります。ストンと落ちる感覚にやられてしまうのです。ハクション大魔王の最終回はその最たるものだと、私は(私だけか?)思っています。

これは広告のボディコピーにもあてはめることができます。(出た!いきなり強引な展開。)
ボディコピーの最終回、ま、最終センテンスですね。ここをサラサラと流れるように終わるか、ストンとギャップというか意外性をもたして終わるかで、受け手の印象度がまるで変わるような気がしてます。
ボディコピーの書き方には、人それぞれいろんなスタイルがあるでしょう。私の場合、極端にいうと、第一センテンスと最終センテンスを決めて、あとはその間を埋めていくという書き方です。最終センテンスはもうカチっと決まってるわけですから、どういう流れにすれば、最終センテンスがストンとくるかというギャップを考えて書いてます。(ほんとうに効いているのか、いいボディコピーになっているのかは、また別の話です)

そうか、今気がつきましたが、私のコピーライターとしてのルーツは、ハクション大魔王にあったのですね。

というわけで、川村のリレーコラムの最終回は、大したギャップもなく終わります。長いあいだ(といっても一週間ですが)おつき合いいただいた方、ありがとうございました。
一番つらかったのは、果たして読んでいる人がいるのか。読んでどう思っているのかが分からなかった事です。「お前の言ってること違うぞ。」とか「ハクション大魔王より、やはりフランダースの犬でしょう」という方、ご意見・ご感想はよろしければメールにて[kawa-1-5@xb3.so-net.ne.jp]。
このような機会を与えていただいた安田有美香さん、どうもありがとうございました。気持ちが分かりました。
そして、次へのバトンタッチを快諾していただいた有限会社Eの坂東真弓さん、来週一週間楽しみにしています。

「カンちゃーん、もう宿題は自分でやるんでごじゃりますよー」
(涙)

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