リレーコラムについて

STYLE OF SENTO

村田俊平

同期とよく、銭湯に行くのですが、
さて、そこでよく議論になるのが
「限られた予算の中、手ぬぐいとバスタオルどちらに投資するか?」問題です。
これは、永遠のテーマである。
すなわち、大抵、銭湯は、
主に風呂に入って体を洗うために用いられる手ぬぐいと、
風呂上がりに体を拭くことに特化した、バスタオルが
入湯代とは別に設定されていて、
まぁ、大抵手ぬぐいは買取150円、
バスタオルはレンタル200円とかなのですが、
入湯代が500円前後とかの中、家でも入れる風呂に対して
800円の出費はさすがにバカバカしい。

その時当然のように、私たちは、手ぬぐいだけを購入して、
入湯するスタイル以外はありえないだろうと思っていたのですが、
先輩の関龍太郎さんと福岡の銭湯に行った時にその常識は覆されます。

関さんは、なんと手ぬぐいではなく、
バスタオルだけに投資して突入したのです。
意外にポッコリしたお腹の関さんが、
平成教育委員会の勉強小僧を
サブカルチャー強めに実写化したような関さんが、
満員の洗い場を前に徒手空拳+メガネで空くのを待つその姿。
誰かにとっては所在なく映ったかもしれません。
しかし、僕は、そこに、身一つで銭湯と対峙する、
勇者の姿を見たのです。
このスタイルは後日「ストロングスタイル」と
名付けられることになります。

これが「ストロングスタイル」なら、
手ぬぐい=◯、バスタオル=×は翻って、
「スタンダードスタイル」。

では、手ぬぐい=◯・バスタオル=◯はどうか。
これは、打倒すべき貴族階級の振る舞いそのもので、
「リッチスタイル」あるいは「ブルジョアスタイル」と
幾ばくかの侮蔑を込めて呼称されている。

最後に、手ぬぐい=×・バスタオル=×。
生まれたままの姿で突入、撤退する「リアルスタイル」です。
これは、もっとも難易度が高く
理論的には成立しえないはずなのですが、
(おじいさんや子供でこの使い手をたまに見る。)
最近、僕らのような凡庸でも、
リアルスタイル、すなわち、文字どおり丸腰で
風呂に突入する方法を考えました。

それは、風呂自体には何も購入・レンタルせず突入して、
そこらへんにある人の捨てた手ぬぐいを
再利用するという方法。
これは、言うなれば「スキャムスタイル」。
人間を一段階下げないと成立しえないスタイルです。

というわけで、
月曜からはスタンダードスタイルの
尾上永晃くんです。

NO
年月日
名前
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5691 2024.04.20 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@韓国の街中
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