リレーコラムについて

青い岩

中塚未央

美大に入って1年目の時、
油絵の授業がありました。

美大は、一般的にアート系学科(油絵・日本画・彫刻等)と
デザイン系学科(グラフィック、空間、プロダクト等)に分かれていて
私は後者だったのですが、
1年次には、幅広く経験するべく
油絵の授業が必須であったのです。

クラスのみんなでつなぎに着替えて教室に入ると、
部屋の真ん中に巨大な岩が置いてありました。

なるほど、岩を描けばいいんだな。

・・・普通に描けば良いのかな?

油絵は初めてだったので、一瞬ためらいましたが、
教授からは特に何も説明がなかったので
私は目の前の岩を目に見えるままに描きはじめました。

そこからは連日、岩と向き合って
ひたすら岩を描く日々が続きました。

すると1週間くらいたったある日、
クラスの1人の女の子が、大量の段ボールを持って
教室に入ってきました。

何が起きたのかと思って見ていると
その子は段ボールを平につぶしてガムテープでつなげ
3×3メートルくらいに広げると、
真っ青な油絵の具を大量に取り出し、
その巨大な段ボールにぶちまけたのです。

・・・どうした?
ひたすら岩と向き合う日々がストレスで
おかしくなっちゃった?

意味がわからなくてしばらく見ていると、
その子は岩を見てはダンボールを青く塗り
また岩を見ては、ダンボールを青く塗っているのです。

・・・えぇーー!!???

まさか、この岩が青く見えてるんですか!?

私には意味がわかりませんでした。
目の前にあるのは灰色のその辺に転がってそうな岩です。

それが、青になっていて
しかも3メートルくらいに巨大化されている!!

そしてそれを見た教授は一言、
「すばらしい。」

・・・この時、私は悟りました。
自分には無理だ、と。

それと同時に、
同じ人間なのに、こんなに物の見え方が違うものかと
驚いたのです。

時はさかのぼり中学の時、
隣のクラスに気になる男の子がいて、
廊下ですれ違ったり、体育の授業で会うたびに、
なんか目があうなーと思っていました。
ひょっとして・・・??なんて思ったりしていました。

後に、
その男の子の視力は0.1以下で
裸眼だとほぼ何も見えてなかったことが発覚しました。
つまり彼からしたら、目なんて合っていなかった。

上記の2つ、若干次元の違う話かもしれませんが、
自分の見ている世界が、他人と同じとは限らないんだなと、
どちらも強く思ったのです。

そう考えると、
人それぞれ、見え方も感じ方も全く違う世の中で
万人に受ける広告を作るのって、
本当に難しいなと・・・
思う訳です・・・。

・・・まとめに無理がありすぎましたでしょうか・・・。

私のコラムも限界を迎えてきたので
そろそろ次の方にバトンタッチします。

新人賞の同期で、
なんとコピーライターでありながら芸人もやっている
大広の西田良平さんです。
ぜひ一度、生の漫才を見てみたいです。
よろしくお願い致します!

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