リレーコラムについて

女子大生は囚人

中塚未央

リレーコラム3日目にしてすでに苦しくなりつつある、
「暇つぶし」シリーズ。
高校時代でもう1ネタいけるかと思ったのですが、
全く思いつかなかったので、大学時代に飛んじゃいます!

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地元を出て上京し、大学に入学した春。
一応サークルとか入ってみたのですが、
大学生特有のワイワイ感に全くついていけず
半年でフェードアウト。

そこからは、わりと早めに暇を感じ始めました。

せっかく東京にきたので、
憧れのTV業界でバイトしてみたいなぁ。
そう思って制作会社等を探してみましたが、なかなか募集は見つからず、
家でぼーっとドラマを見ていたとき、ふと画面隅に映るエキストラが
目に入りました。

エキストラ・・・って、一体どこの誰なんだろう?
たまに番組HPで募集してたりするし、誰でもできたりするのかな?

番組制作の裏側に興味津々だった私は、とにかく撮影現場に潜入してみたく、
業種は何でもよかったのです。

すぐさまネットで調べてみると、ありました、いっぱい。エキストラ事務所。
登録しにいくと、オーディションなどは一切なく、
簡単な履歴書を書くだけで手続きは終了しました。

エキストラって、誰でも出来るんだな。
あわよくば現場スタッフの人と仲良くなってそのコネで・・・
などと淡い夢を抱いていました。

数日後、事務所から電話がかかってきました。

「えっと〜、明日の朝4:50に〜、○○駅のバス乗り場にきて
いただけますぅ?で、役柄上、メイクとかヘアセットはしてこないで
いいんでぇ〜。ていうか絶対してこないでくださいねぇ〜。
衣装はこっちで用意するんでぇ〜。」

・・・すごく軽い感じでした。

これが業界・・・?
ていうか、朝早くね?
ていうか、テレビ出るのに、スッピン・・・?

いろいろ不安になりましたが、撮影現場に潜入できる喜びの方が大きく、
ワクワクしながら当日を迎えました。

バス乗り場につくと、同年代の女性がたくさんいました。
モデルみたいな体型の人もいれば、同じ学生のような人もちらほら。
共通してるのは皆、スッピンで髪がボサボサなことです。

バスに乗ると、廃墟のような古びた建物に連れて行かれました。

AD「皆さん、今日は囚人役なんで。これに着替えてくださいね〜。」

全員に、上下グレーの作業着が渡されました。

・・・囚人!???

・・・・・・囚人!!???

心の中で、二度見ならぬ二度聞きしました。

ふと机に置いてある台本を見ると、
「火曜ミステリー劇場 ●●シリーズ秋のスペシャル篇」
との文字。

・・・なるほど、そっち系のドラマか。

テンションが下がり続ける中、ほうきとちりとりを手渡され、
ひたすら掃除をするよう演技指導を受けました。

目の前にはカメラ、そしてたくさんのスタッフ。

「これがドラマの撮影現場かぁ〜!おっもしろいなぁ〜!」
と、強制的に思考をポジティブ転換し、
「私は何をしているんだ」という気持ちが前面にでてこないよう
精神をコントロールするのに必死でした。

すると50歳くらいの監督らしきおじさんがすた!っと立ちあがり、
こっちに向かって歩いてきました。

やばい!!やる気ないのバレた!?

目を合わせないように下を向いていると、
監督は私の斜め前にいた女の子の前で止まり、
「君、そのちりとりを●●さん(大御所女優)に渡しながら、大声で「終了しました」って言って。」
と、その場で演技を追加しました。
突然セリフを与えられた女の子は、明らかに顔がひきつっていました。

「ダメ!声が小さい!」
「もう1回!!!」
「反省の色が全く見えん!!!!」

早朝のどこだかよくわからない施設で、
よくわからないまま囚人化した女子たちを前に、
しばらく監督の怒号は鳴り響いていました。

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10年たった今、私は違う職種で撮影現場にいます。
たまに現場にエキストラの人たちがいると、
心の中で、頑張れ、と応援したくなるのです。

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