リレーコラムについて

バカでもできるイタリア料理の作り方

山中律子

野菜のおいしい季節になりました。
野菜が安い季節になりました。

ついこないだまで、4個298円だったトマトが
4個158円。これはもう、作るしかないでしょう。
スーゴ・ディ・ポモドーロ。トマトソースです。

トマトソースって、明治屋とかで売ってる
瓶に入ってるあれ?とか言わないでください。
これは、水を一滴も加えないで生のトマトからつくる、
混じりっけ一切なしのトマトソースです。

イタリアでは各家庭ごとに、
代々受け継がれる確固たるトマトソースのレシピがあって、
やれ、うちはニンニクしか入れないの、
やれ、うちはタマネギも入れるのと、
それはもうトマトソースを定義するのは不可能ですが、

これは、南イタリアはプーリア州の海辺の街にある、
小さなトラットリアで習ったトマトソース。

そんなの、イタリアの甘いトマトだからできるんでしょ?
と私も最初は思っていました。
でも大丈夫。日本のトマトは進化しています。
そこいらで売ってるやつで十二分においしく作れます。

材料は、トマト5〜6個、ニンニク2片、タマネギ1個、
ナス2本、赤ピーマン(小)2〜3個、バジルの葉10枚
パセリ(二枝分)の葉。
これらを全部ブツ切りにし、深鍋にまとめてぶっこんで
煮込む。それだけでいいんです。

中火で火にかけ始めると、
野菜が鍋底に焦げつくんじゃないか、
と心配になる瞬間がありますが、ガマンして見つめてると、
トマトから水分がどんどん出てきて
あっという間にスープ状になります。
そしたら弱火にし、ここで、ちょっと勇気が要りますが
オリーブオイルを100ml、どぼどぼ〜っと注いでください。

えー、こんなに入れるの?と、
水面を覆う分厚い油膜を見るにつけ不安になる瞬間が
ありますが、これもこらえてください。
10分ほどすれば汁と馴染んでオイルの存在すらわかないほど、
とろみのついたなめらかなスープになります。
オリーブオイルは、日本でいえばダシ汁や味醂の感覚。
このオイルこそが、野菜だけでは果たせないコクと甘みを
もたらすのです。

さて、さらに1時間ほど煮込んだら、
イタリアでは取っ手をぐるぐる回す
野菜専用の裏ごし器にかけるのですが、
日本の家庭にはそんなものないので、
多少色目は悪くなりますが、ガーっとミキサーにかけて、
全部ぐちゃぐちゃにしちまえばよいでしょう。

これでおしましです。簡単です。コツも技術も要りません。

トマトソースだけで食べるパスタが、
こんなに旨くていいのかよ。と、きっと思うはず。
イタリアでは家庭や店ごとに、このトマトソースを常備し、
生クリームを加えてトマトクリームソースにしたり、
炒めた魚介類にこのソースを足して海賊風にしたり、
白身魚にぶっかけてチーズで蓋をし
オーブン焼きにしたりします。

うちに料理を習いに来てくれる友人達にも好評の一品。
お宅でも、ぜひお試しください。

あ、コラムって、土曜までだったんすね。
では、また明日。

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