リレーコラムについて

帰ってきたゲッハーコラムその13

川口修

おはようございます。

神戸は、大雨です。

この雨のせいで、朝からまったく
髪の毛がまとまりません。

無念です。

さて今日は、ある日、居酒屋で
死にたくなった話を書こうと思います。

その日は珍しく、おいしい焼鳥屋さんを
探そうと、ひとりで隣の駅まで
自転車で向かったんですね。

そして「ここ、いいかも」と見つけた
お店は金曜日で満員。

「きっと、おいしいからだ!」とドアを開けると
「お一人様ならカウンターいけます!」と店員さんの
威勢のいい声が聞こえてきました。

ならばと、座って生ビールを頼み、付き出しの
「鳥皮ポンズ」を食べていると、後ろのテーブル席に
座っていた、けっこう酔った3人グループのお客さんの
会話が耳に入ってきました。

(40代らしき女性) 
「○○さんてさ、ハゲ過ぎやんなぁ?」

(30代らしき男性A) 
「前からガンガンきてますよね!はっはっはっ!」

(30代らしき男性B) 
「あれで頭に矢が刺さってたら、落ち武者っすよ」

(40代らしき女性) 
「わかる、わかる!はっはっはっ!」

豚バラ串を片手に持ちながら、僕の背中は震えていました。

「きつい、きついぞ、この状況…」

そして、彼らの声は、どんどん大きくなっていきました。

(30代らしき男性B) 
「○○さん、ハゲてる人はダメなんですか?」

(40代らしき女性)
「私、生理的にあかんねん…」

(30代らしき男性B)
「でも男は、いつかはハゲますから」

(40代らしき女性) 
「でも、まだポッチャリのほうがマシやわ」

僕は、その時思いました。

君たちのすぐ後ろを、見てごらん。

ドンピシャの「ぽっちゃりハゲ」がいるよ、と…。

で、僕はこの状況を、楽しもうとマインドチェンジしました。

いま、カウンターに座ってる僕が、彼らのことを
キラキラとした笑顔で見つめたらどうなるのかと。

そして、やってみたのです。

すると、3人と目が合い、初めて珍獣を見つけたような
目でフリーズし、あれほど大騒ぎして「ぽっちゃりハゲ」を
否定していた3人が、まるでお通夜での食事のように、
黙りこくってしまったのです。

戦争は終わった。

僕は「ノーボーダー、カップヌードル!」と心の中で
つぶやき、2本目の豚バラ串を、勝利の旗のように
手元で振りました。

そして、その時でした。

カウンターテーブルの横にいた別のOLさんが、
僕の真横で語り始めたんです。

「営業の○○さん、最近ハゲてきてさぁ…」

ガビ~~~~~~~~~~~~~~~ン。

そして次の戦争は、
店を出るまで、つづいたのであった。

チャッピィ

NO
年月日
名前
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