リレーコラムについて

ことばせんせい

山﨑博司

博報堂には、「ことばせんせい」という、
社内のクリエイターだけに配られた本があります。

先輩から言われた一言。
怒られて気付いた一言。
あの巨匠や有名クリエイターからの一言。
仕事や飲みの席でためになった言葉が、
その人だけでなく、社内全体で共有できるように。
社内はもちろん元博報堂の方から投稿され、
一冊の本になっているのです。

配られたのは、僕がちょうど1年目のとき。
当時まだ意味が分からなかった言葉も、
いま見返してみると、
なるほどそういうことか!と勉強になる名言ばかり。
すばらしい企画だなと思います。

もし、いま「ことばせんせい2」の募集があったら、
こんな言葉を投稿するなと思い、
今回は勝手ながら、僕にとっての「ことばせんせい」を
2つ紹介したいと思います。

1つ目の、ことばせんせい。

「結局、山﨑くんはどうしたいの?」

これは、僕の師匠であるコピーライター井口雄大さんの言葉。
博報堂では、3年間先輩のもとにつき、
コピーや仕事の仕方を覚えていきます。
井口さんには、いろいろ教えて頂きましたが、
最近コピーや企画で悩んだりするときに、
よく思い出すのが、この言葉。

つまらないコピーを出したときや、営業から言われた修正を、
そのまま直したときによく言われていた言葉です。
「本当にそれでいいと思うならいいんだけど、
そう思わないならベストを提案しなきゃ。
山﨑くんがこの仕事にいる意味がないじゃん。」と。

確かに、その通りですよね。
本当に広告をみる人の心に届くのか。
そのブランドや商品のことを、どう思っていて、どうしたいのか。
意思の乗らないコピーからは、いい広告は生まれない。
狙いや企みをもって広告を考えるということを、
日々思い出させてくれる言葉です。

2つ目の、ことばせんせい。

「勉強ばかりしているから、いつまでたっても2番なんだよ。」

これは、妻からの言葉。
もちろん、広告のことなんて知らないんですが、
僕が、2年目のとき。
広告賞受賞を目指して、その広告賞の傾向と対策を
家で分析しているときに言われました。
「そういうこと大事だと思うけど、
1位を獲るのは、それまで誰も考えなかった新しい表現とか、
見たことない広告なんじゃないの?」と。

分析することに夢中になっていた僕にとって、
新しい仕組みや表現のあり方を意識させてくれた言葉で、
もしかしたら、この言葉がなかったら、
今年の新人賞を頂けなかったのではと思うくらいです。

まだまだ、ためになった言葉があるのですが、
これからも、いろんな方から、
たくさんの「ことばせんせい」をもらえるよう、
仕事をしていきたいなと思います。

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