リレーコラムについて

受賞作品のこと

多胡伸一朗

こんにちは。
過去のリレーコラムを読み返して
愕然とした多胡です。

広告論、コピー論、社会への鋭い洞察、
ためになるメッセージ、処世術などが
盛り込まれていて、しかもそのエピソードが面白い。
言葉も軽快でこなれていて。
その反面、僕のコラムは・・・。
(自意識過剰かもしれないですけど)

今回コラムを書きながら
いかに自分が普段から何も考えずに過ごしているのか、
いかに自分の引き出しが少ないのかを
再認識させられています。

えーっと、前置きが長くなりました。
今日は、新人賞受賞作品のことを書きたいと思います。

というのも、先週松田さんから
「受賞作品の制作秘話は必見です!」
と話をふられたこともあり、
スルーするのもアレかと思いまして。
先に言っておきますが必見というほど大した秘話はないです。

今回、新人賞をいただいたのは、
軽自動車専門店K’s AUTOのポスター5点シリーズです。

制作する上で目指したのは、
多機能なポスターでした。
購入を迷っているお客さんの背中を押し、
商談を和やかにし、
展示車のPOPにも使えるような汎用性があり、
軽自動車への愛を感じるような。

企画で描いていたイメージは、
「壁面を走行する5台のポスター」です。
そういうわけで、ポスターは
軽自動車のカタチ(シルエット)に切り抜かれています。
(5点のポスターそれぞれが違う車のカタチになっています)

秘話と言っていいのか判断に困るところですが、
このポスターの切り抜き、実は
弊社のデザイナーK君(お父さんはTCC会員)と
僕の2人でやっています。
印刷屋さんで切り抜いてもらうとコストがかかるためです。
ポスターを何枚も何枚も
ただひたすら切り抜き続ける時間は、
図工の時間のようで、心地よかったです。
こういう手作り感のある仕事は大好きです。

せっかくなので、
5本のコピー(新人賞応募)を
ここで紹介させていただきます。

 「軽なのに…」の後は、
 だいたい褒め言葉だ。

 手っ取り早く
 日本の車道を広くする方法。
 それは、軽に乗ること。

 運転席と助手席が近い。
 つまり、自分とあの人が近い。

 この傑作を育てたのは、
 メーカーではなく
 日本の国土かもしれない。

 うなりながら
 急坂をのぼる姿が
 俺の人生みたいだった。

今思えば、僕自身が
10年以上の軽自動車ユーザーということもあり、
コピーの開発は、自分の実感の中から、
軽自動車の魅力を根気よく探す作業でした。

別の切り口があったんじゃないか。
この部分は表現をもっとチャーミングにできたんじゃないか。
もっと短くできたんじゃないか。
ねばりが足りなかったんじゃないか。

納品後になってから、
ああすらよかった、こうすらよかったと
思いを巡らせてしまうのは、いつのものことです。

NO
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