リレーコラムについて

雲の上のTCC

多胡伸一朗

ずーっと
TCCは雲の上の世界だと思っていました。

毎年発表される新人賞受賞者や
新人賞一次審査通過者に
羨望のまなざしを向けていました。
そもそも出品できるような作品がなかなか揃わず、
新人賞への応募そのものが自分には難関だったのです。

そんな僕が、
リレーコラムを書くことになるとは。
人生わからないものです。
この一週間は、客席から舞台に
急に放り出されたような心境でした。

TCCについて、
以前よくこんな話を聞きました。
『大手代理店・超有名制作会社に入るか、
有名コピーライター事務所に弟子入りしないと、
TCCを獲るのは難しい』というような内容。
そりゃそうだろうなとは思いつつも、
無名の制作会社を渡り歩いている
自分には耳の痛い話でした。

その話を突き詰めれば、
『広告業界の第一線で活躍している
クリエイターがすぐそばにいるかいないかで
成長の仕方が大きく変わる』
ということではないかと考えました。

どんな環境にいても
誰もが平等に努力はできるけど、
一流の仕事を毎日のように間近で体感できるのは
成長していく上ですごく大きな
刺激になることは間違いありません。

自分に引け目を感じながら、
そんな自分にモヤモヤしながら、
時間だけがどんどん過ぎていきました。
「このままじゃあかん!」
僕は何かにとりつかれたように、
公募の広告賞に取り組んでいました。

そんなある日、
「新・コピーライター入門」という本の中で、
児島令子さんの力強い言葉に出会いました。

『フリーであろうが会社にいようが、
コピーライターって結局自分で育っていくもの』

つまり、自分の成長は、
自分のいる環境ではなく自分自身にかかっている。
なんだか勇気づけられた気がしました。
フリーランスで大活躍されている雲の上の人、
児島令子さんの言葉は、
厳しくもやさしく、そして重みがありました。
今でもたまに、
その言葉が書かれているページを開きます。

今回賞をいただいたことで、
深く考えず、ぼーっと生きてきた不甲斐ない自分が
さらに浮き彫りになったような気がしています。

今年運良く会員の中にまぎれこんだ僕ですが、
今でもやはりTCCは雲の上の世界です。
TCCを羨望のまなざしで見ている感覚を
いつまでもずっと忘れないでいたいと思います。

まだまだ、これからです。

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つたないコラムに1週間お付き合いいただき、
ありがとうございました。

また、この場を借りて、
お世話になっているすべての人に感謝を。

新人バトンは、
財団法人神奈川県動物愛護協会
「捨てたんじゃない。あのひとは、逃げたんだ」
というコピーで新人賞を受賞された
協同宣伝の池田高明さんへと渡ります。

さわやか系イケメンの池田さん、
総会で一度会っただけにも関わらず
引き受けていただきありがとうございます。
来週1週間よろしくお願いします。

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