リレーコラムについて

ワールドカップ

塚田由佳

今日1月17日深夜、アジア杯で日本は5−0でサウジアラビアに大勝。
1次リーグ通過を決めたそうだ。
とりあえず、おめでとうございます。

サッカーと言えば、去年、私がカンヌで審査員をした時も、
世界はワールドカップの真っ只中だった。
私はもちろんそのときが初めてのカンヌ審査員経験だったのだが、
思うに、ワールドカップのある年と、ワールドカップのない年では、
審査会の雰囲気はちょっと違うんじゃないだろうか。
とにかく、みんなサッカーが好き、というところで面白いぐらい
ひとつになっていた。審査委員長のマーク・タッセルを筆頭に、
特に男性審査員たちは、常に試合の勝敗で気もそぞろ。
トイレ休憩になった途端、試合の結果をiPhoneでチェックし、
誰も彼も一喜一憂する。
英語が苦手でほとんど審査中は発言しないアルゼンチンの審査員が、
休憩時間サッカーの話題になると俄然雄弁になって(もちろんスペイン語)、
あーすっごくチャーミングな人なんだということがわかったりしたのも
面白かった。
カンヌの審査員たちは、カテゴリー別に同じホテルに泊まり、
なんとなくグループに分かれて朝食を一緒に食べる。
そこで前日までのカンヌでの審査経過を毎日発行されるフリーペーパーで
確認しながら、さりげなく「どう思う?」的な意見交換がなされ、
会場へ移動してその日の審査に臨むってのが通例のようだが、
ワールドカップのある年は、たぶん朝食でもサッカーの話が半分以上
占めていると思う。
前日の試合で勝った国の審査員は興奮気味に試合結果を語り、
負けた国の審査員は、そのことに触れるな、とばかり不機嫌にむっつりする。
まるで小学校の合宿に来たような子供っぽさだ。

でも、こんなふうに大の大人を子供にしちゃうサッカーは、ほんとに平和で、
真の意味で共通語なんだな、とそのとき肌で感じた。

サッカーってほんとにすごい。
サッカーにあまり詳しくない私でさえ、この年の日本チームのがんばりには
ずいぶん勇気をもらった。(事実、あまり調子がよくなかったのが、
試合が進むにつれ、どんどん強くなっていった様子が劇的で、
外国人もびっくりしながら称賛していた。)
カンヌ国際広告祭という思いっきりアウェーの土地で一人ぼっちでピッチに
立っていた私は、どこか自分を投影して見ていたと思う。
それゆえカンヌのパブリック・ビューイングで日本のみんなと一緒に
ブルーのユニフォームを応援した、あの一体感は単純に嬉しかった。
バカ騒ぎして、なによりすごく元気が出た。
世界という壁を前にやや気落ちしていた私に、遠く日本から、
澤本さんがくれた「大丈夫。僕らには本田がいます!」ってメールも、
あの時、タイムリーに私に響いた。ありがとうございました。
日本、がんばれ。がんばれ、日本代表の私。
どこかに所属している喜び、帰って行く場所がある喜びを、
2010年のカンヌで私は初めて感じたかもしれません。

いや、サッカーってほんとにすごいですね。

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