幸せって
村田徹
最近、蕎麦屋で友人と飲んでいたときに、
教えてくれた明石家さんまの言葉。
「幸せはつまらない。活気がないから。」
なかなか口に出る言葉じゃない。
そこに彼の人生観が感じられた。
そういえば彼、コマーシャルで
「幸せって何だっけ?」と唄っていたっけ。
以前テレビで見たアメリカ階級社会の
ドキュメントの1シーンを思い出した。
若くして成功し巨万の財産を得て、
確か30代ぐらいの若さでリタイアした男への取材。
外界から隔てられたゲートハウスの中で、
欲しいものは全部手にした彼は、
やることもなく一日中ピアノを弾いていた。
人は誰しも幸せになりたいと思うが、
仮に幸せを手にしたとしても、
それが求めていた幸せかどうかは分からない。
城山三郎がまだ若い頃、伊東整に
「あなたはいつも自分を少々無理な状態に置くようにしなさい。」
というアドバイスをもらい、ずっと大切にしてきたという話を本で読んだ。
(対談集「気骨について」新潮文庫)
「まったく無理な状態でもいいものはできないし、
かといって、まったく自然な状態でもまたいい仕事はできない。」
確かにそうだ。人は幸せを手にした時より、
幸せに向かっているときがいちばん良い状態なのだ。
幸せについて改めて考えることなんて、
普段はないものだけれど、ちょっとした言葉から
考えてみたくなる瞬間がある。
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