リレーコラムについて

趣味と広告/麻雀篇

廣澤康正

いよいよ最後の趣味は、最近ぜんぜんできなくなった麻雀です。子供のころは狂ったようにやってたのになぁ。学生の時の日課で話すと、夕方6時から夜中の3時までのバイトをしてたんですけど、それが終わると3時半から麻雀が始まり朝までやって、帰って、寝て、大学行って、6時にバイトに行って、というのをループしてました。

じゃぁ、この麻雀がどう仕事と関係するかっちゅー話しです。え〜、僕のコピーライター養成講座の先生が、黒須田伸次郎という方でした。もう、すんごいエピソードのたくさんある方ですけど、ここではそんなにご紹介できないので残念です。そのうち誰かじっくり、先生の話をしてください。で、このおじいちゃんがとにかく麻雀好きで、養成講座時代から講義が終わると一緒に遊んでいただいてました。そして僕があるプロダクションに勤めはじめてからも、この関係は続いてたんです。ある時期、そのプロダクションはとても忙しく、徹夜の連続で麻雀どころじゃない。けど、おじいちゃんは毎日お誘いの電話をくださいます。断り続けて2週間目、先生はおっしゃいました。「廣澤、麻雀もできないような会社は、ロクなもんじゃない。やめてしまえ。」・・・すごいですよね。「でも先生、俺もやっと社会人になって就職したんだし、次の勤め先もなくやめるわけにはいきませんよ。」「ふ〜ん、そうか、ガチャ!」・・・で1週間後、「廣澤、ちょっと事務所に来い。」・・・そこで行くと、「次の就職先、見つけといてやったぞ。」「え?どこ?」「ここ」「え?」といういきさつで、僕はその先生のもとでコピーライターになったんです。

あ、ウソ、ウソ。だってそれからの日常は、朝10時出社して午前中はぼ〜っとしてる→→→昼前、先生が出社、ごはんを食べに一緒に出かける→→→食べ終わると3時くらいまで、並んでパチンコする→→→飽きると喫茶店でコーヒーをすすりながら、世間話をする→→→4時半ごろ会社に戻って、かかってきた電話の中からその日の麻雀のメンツを選ぶ→→→6時に麻雀開始。12時前に終わり。これがほんとに毎日のことでした。考えてみりゃ、天国だったなぁ。

そして1年ほどが過ぎたある日、先生が、「廣澤、お前は知らんだろうが、俺の会社はH堂に社員を出向させている。で、そいつらが人手不足で困ってるから、手伝いに行ってこい。」とおっしゃいました。そこで出かけていくと、待っていたのはHのコピーディレクターの方。オリエンをしてくれて明日までにね、と言われ、久々にコピーを書くことになりました。あくる日、僕が一生懸命書いたコピーを持って行くと、そのディレクターがじーっとコピーを読んで考え込んだあげくにボソッとひと言、「君は今まで、何してたの?」「・・・・・麻雀(もちろん心の声)」。でも、その次のお言葉が、「君は、明日からここに来て、仕事をしなさい。席は、あそこでいいから。」・・・ということで、いよいよ本格的に僕のコピーライター稼業が始まりました。そのディレクターは田村国昭さんという方で、僕の恩人・その2です。

つまり、僕が麻雀がすごく好きじゃなかったら、今のような人生にはなってないんですね。黒須田先生にも可愛がってもらえなかったろうし。ま、そんなわけで、趣味と広告のお話しは、おしまい。次は、サッカー篇にちょっと登場した濱田篤さんにバトンタッチします。この男、実はとんでもないヤツで・・・・

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