リレーコラムについて

僕と芸名とサングラス。

嵐田光

この1週間、「バンド」をすることについて書いてきましたが、
もし全部、読んでくださった方がいたら、思っているかもしれません。

「で、おまえのバンド、なんていうの?」

「それは、ひ・み・つ。」

そうなんです。言えないんです。
なぜかというと、最初に、会社とそういう契りを交わしたから。
会社は会社、バンドはバンド。しっかりと分けるという約束で対外活動を容認してもらったんです。
いわゆるコンプライアンスってやつですね。
だから、広告制作者として名前を出してる時は、
バンドをやっていることは言っても、バンド名は言わないようにしています。

そもそも、僕自身、今やってるバンドを始めた時点で、
芸名のような「嵐田 光」という本名は伏せて、まったく別の本名のような芸名を名乗っています。
(なので僕の名前で検索しても、今のバンドの情報は出てきません!)
さらに、つねにサングラスをかけて、完全に素顔を隠しています。
いわゆる、井上陽水さんスタイル。または、鈴木雅之さんスタイル。

なんで、そうしたかっていうと、広告モードとバンドモードの切り替えが、
年を重ねていくほどに、「気持ち」だけじゃ、難しくなってしまったからです。

だって、クライアントで「御社の商品の新CMを提案させていただきます。」って言ってた次の日に、
ライブハウスで「おまえら、オレたちの新曲、聞いてくれーー!!!!」って叫ぶの、
完全に、おかしい人ですよね?もはや別人格っていうか。自分でも、この振り幅、やべえなって思います。
よく今まで、ライブ中に「それでは、次のコピー、聞いてください!!」って間違えなかったなと・・・

そんな振り幅だから、簡単には、モードが切り替えられなくて。
バンドモードになれないまま、ライブをしちゃうこともあったり・・・
なので、今のバンドでは、サングラスをして、ロックっぽい衣装を着て、別の芸名を名乗る。
ちょっと恥ずかしいくらい、古典的バンドマンになりきるんです。
そうすると、あら不思議・・・すぐにバンドモードになれるんだぜーー!!!イエーイ!!!

とくに、芸名を名乗る作戦は、自分が思っていた以上に効果があって、
矢沢永吉さんの名言「俺はいいけど、YAZAWAがなんて言うかな?」状態で、
普段の自分だと言うのが照れることも、夢見がちすぎることも、
サングラスかけたバンドマンの自分だと、言えちゃったりするんです。
もし失敗しても、これは僕の失敗じゃない、あいつの失敗なんだ!くらいに思えてきて、
曲も、おもいっきり遊べたし、ライブも、おもいっきり弾けられた。
結果、好き放題やっている感じが、他のバンドとの違いになって、個性になって、
それをおもしろがってくれるお客さんが、どんどん増えていったのです。

人生って、どう転ぶか分からないもので、素顔と本名を捨てたら、逆に状況が好転する。
そんなことが、あっちゃうんです。
だって、素顔と本名って、自分のアイデンティティーじゃないですか!
それを隠したほうが人気でるって、今までの俺の人生って、なんだったの?ってなりますよね。
でも、人間って、いろんなものを背負うことで、強くなれる人と、
背負うことで、慎重になる人と、タイプが分かれるんだと思います。
僕の場合、完全に後者だったようで・・・
自分の中で、勝手に築きあげた自分らしさが、足かせになって、
気づかないうちに自分に、つまらない制限や規制をかけていたのかもしれません。

なので皆さんも、
もし、自分の殻を破りたい、新しい自分の可能性を見つけたい、
なんて思ったら、サングラス着用か、芸名の採用をオススメします。
月曜から、サングラス出社、どうですか?
次のプレゼンから、コピーライターネーム、名乗ってみませんか?
けっこうインパクトあると思いますよ。
まあ、そこまでは無理だとしても、
日常の中で、なにかしらの自分の切り替えスイッチを持っているのは、いいことなのではないでしょうか。
僕の場合、たまたまそれが、芸名とサングラスでした。

 

さて、1週間、僕のバンド話に、お付き合いくださり、ありがとうございました。
広告制作者として、バンド活動のことを語るのは、はじめてだったので、
自分としても、いい機会になりました。続きは、またどこかで!

次のリレーコラム。
僕が今、一緒に仕事をしている仲間で、いちばん温厚で優しい人にお願いすることにしました。
僕は彼に、嫌な思いをさせられたことが1度もありません。
なので今回のバトンも、当然、こころよく受け取ってくれました。
博報堂のCMプラナー、鈴木智也くん、よろしくお願いします!

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