リレーコラムについて

いつか僕の名前を検索する君へ。 その2

高田伸敏

もし君がもうすでに
僕の名前を一度でも検索したことがあるとしたら、
とてもドキドキしてしまうことなのだが。
ひとつ、このコラムで秘密をバラそうと思う。

君の両親、つまりは僕とママは、
一度離婚しているんだ。

この街に25年以上住んでいるけど、
その内7年くらいは別々に暮らしていた。

最初に暮らしていたアパートを、
いまでも君に教えたことはない。
なかったことになっている。
家族の会話で、時々、18年以上前の話とかが、
曖昧になる事があるのは、そういうことだ。

よくよく突っ込まれると、
アタフタしてしまうことばかりなんだ。

たまにママと喧嘩した君から、
あんな母親、よく我慢できるね、
と言われた時もニコニコしてるけど、
ごめん俺も一度我慢できなかったよ、
と心でつぶやいている。

今ではとても優しい君のじいじだけど、
二度目の結婚の挨拶の時は、本当に怖かった。
もちろん、その前の離婚をひき止められた時の
悲しい顔は今も忘れられない。
みんなみんな、
君がママのお腹に宿ってくれたおかげで、
すべて許してもらえたんだ。

できちゃった再婚。というのだろうか。
ママは、この事実について、
君に話す必要はないと思っている。っぽい。

戸籍謄本か何かで知ることになるとは思うけど、
それも恥ずかしい。今さら、説明したくはない。
二度目の馴れ初めなんて、君も聞きたくないだろ?

できれば、コラム読んだよ、って、
こっそりポンと肩を叩いて合図を送ってほしい。
でも何年かたって、肩をポンと叩かれても、
僕がすっかり忘れて気づかなかったとしても
許してほしい。

しばらくは、君がコラムを読むまでは、
ドキドキしながら生きていくのだろう。
でも、君にこれだけは言える。
大丈夫、結果オーライだ。
僕たちはそこそこ幸せにやっている。

 

 

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