リレーコラムについて

お散歩人生(犬編)2

小林弘昌

お散歩人生(犬編)2                                                             
  
散歩してると、よく『あっ、ボーダーコリーだ!かわいい!頭がいいんですよね。』なんて声をかけられる。テレビのシムラ動物園などで、いちばん頭のいい犬種として紹介されているからだろう。私はその際、全肯定。「はい、いいですよお。」としゃあしゃあと言うことにしている。自分の子供なら、「そんなことないですよ〜」的に否定するだろうけど。犬の場合は、学校に行く訳でもないので、いじめられることもないし、近所で後ろ指さされてもたいしたことはない。ほめられたら、いい気になればいいのだ。それにこの犬種のことを言ってるから、ぼくが否定する立場にないとも言える。                                                    

実際、子供の頃から何頭もの犬を飼ってきて見ているが、賢い。先を読む。一般的には犬は『散歩』とか言う言葉に反応して騒ぎだす、とかってよく聞くが、それだけじゃなくて、散歩用のジャンパーを着だしたり、お散歩袋(別名 うんちぶくろ)を手にすると、さっと玄関に向かう。会社に行く時のジャケットや、ハンカチとか持っても無反応だ。良く観察しているなと感心する。僕が会社に行くと暫く帰ってこないのがわかっているからか、会社の鍵を持つと、吠える。家の鍵だと騒がない。自動車のキーを持つと、さっと自動車のリアドアの前に座っている。とどんどん先を読む。それにその鍵を持つと、というのも見ている訳じゃなく、音だけで判断しているのだ。鍵は犬には見えない高い棚にあるし、下からは見えないのに、手にした時のその音で判断しているのはすごいなあ、と思う。                                                                        

やはり、犬ならではの鋭い感性があるのだと思う。夜の公園でご挨拶するお散歩仲間の人に、昼間の駅前で会ったりすると、僕は夜で暗く顔もよく見えていないうえに、かっこがまるで違うから、分からないが、犬の方が見つけて駆け寄ったりしている。すごい記憶力だし、やっぱり臭いで判断しているのかな、と関心する。そのわりには、うちの奥さんと似た姿かっこした知らない女の人に寄って行ったりする間違いもあったりするから、よくわからない。やっぱり臭いより姿かたちで判断しているのかなと思ったり。                                                     

お散歩してると、自然と犬のお散歩仲間が増えていく。携帯を教え合って食事を一緒したりする仲になる場合もあれば、挨拶と犬の名前だけで、その人の名前さえも知らない場合も多い。けっこう公園でしょっちゅう会っているのに、ルナのママという名前でしか、知らないなんてことはよくあるのだ。それでも全く接点のない世界の話が聞けたりして面白い。トレーダーの人だったり、美容師だったり。なぞのあやしげな職業だったり。お散歩だけの関係だから、つっこめないが「へえ〜」というその世界ならではの話もきけたりもする。(続く)

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