リレーコラムについて

第四話:その女、『S』さん。

廣瀬泰三

今回は、会社のとある先輩S(女性)さん。

入社すぐくらいの時のTVCMの制作中の話で、
テレシネという作業の時。

テレシネとは、撮影素材のフィルムの現像の事で、
色味や明るさを調整する工程の事です。

そのCMのお得意さんは
明るさにすごくこだわるところなので、
テレシネにしっかり立会ってました。

カメラマンや監督が難しい顔をして調整をし、
「もう少しシアン強くしようか」 などと
スタッフは、絵のこだわりをみせつつ、
作業は進んでいたのですが・・・

むむむ?
ちょっと待てよ?

・・・絵が沈んでいる。

もちろんお洒落で格好いいビジュアルはいいのですが、
簡単に言うと「暗い」。

とはいえ、
監督やカメラマンは険しい表情で調整をしている。

しかし、やっぱり絵が暗い・・。
暗すぎる・・・。

狙いはわかるが、
このままやと「再テレシネ」というさぶい事になってしまうかも。

このタイミングで修正しないと、まずいかも。
うん。勇気を持ってスタッフに言おうと、緊張感が走った矢先、

Sさん(女性)が一言。

「陰部を立たせてください」

しーーん・・・

「・・・だから、陰部を立たせてください」

毅然と放った一言に、スタッフ全員真っ白。
その中のスタッフ(男)の方が勇気を振り絞って言いました。

「・・・暗部・・・・ですよね?」

一字違いで大違いとはこの事である。

真剣にテレシネ作業をしてる中、
仮にスタッフ全員がSさんの言うことを聞いて、
「少々お待ちください!」とか言うて、
目つぶって、集中しだしたりしたらと思うと
笑いが止まりません。

天然ボケの破壊力をまざまざと見せつけられました。
そんなSさんにボクは頭があがりません。

もし、ご意見ご感想があれば、taizo.hirose@dentsu.co.jpまで
よろしくお願いします。

ではでは、また明日〜。

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