リレーコラムについて

第三話:その男、『K』くん。

廣瀬泰三

さて、今回は、Kくんという男の話です。

ボクが浪人生の時の話。
Kくんから一本の電話がかかってきました。

ボク「もしもし」
K 「お前やろ?」
ボク「何やねん急に!?」
K 「あんな事思いつくんお前しかおれへん。お前やろ?」
ボク「何がやねん!!??」

・・・本当に身に覚えがないので、
ボクはKくんに事情を聞きました。

Kくんは、現役で大学に受かり、
念願の1人暮らしを始めていまして、ノリノリだったんです。

そして、とある日、
高校から付き合ってる可愛い彼女を、家に招待したんです。
(*その時点で、お二人はプラトニック。)

Kくんは、彼女と2人で飲めへん酒を買い込んで、
「今日はオレの城でプップクプー」なんて思いながら
意気揚々と玄関を開ける。

すると家の固定電話の留守電ボタンが
カチカチっと点滅してます 。

Kくん慣れた手つきでボタンをポチッと押す。
シャーっと留守電のテープを巻き戻す音・・・

彼女 「うわ〜!何か1人暮らしって感じ〜!」とはしゃぐ彼女。
Kくん「だろ?」得意げなKくん

その間もシャーッとテープを巻き戻す音。

シャーー・・・・

シャーー・・・・・
明らかに長い。

シャー・・・・

やっと終わったと思ったら、

機械のアナウンス「・・・・9件です。」
「え?9件?多くない?」と彼女が言った矢先。

1件目です。ピーッ!!

男優「ここだろ?うん?」
女優「いや、恥ずかしい…」

(以下、延々とドラマ仕立てのAVの音声が続く。)

シーン・・・・

立ちつくす初々しい大学生のカップル。

状況が飲み込めない2人。

せっかく大学受かったのに。
せっかく1人暮らしなのに。
せっかく今夜○△×なのに。

ボクなんか悪い事しましたか?とKくん。

電話で状況を聞いたボクは、大爆笑。
執拗に「お前やろ!?」と問いただすKくん。

冤罪の人ってこんな気分なんだろなー。

残念ながら、
犯人はボクじゃなくて
何度かコラムに登場してるTくんでした。(結局今回も登場)

ま、こんな無差別テロにあいながらも
Kくんは、結局、その彼女と結婚しました。
「あれがあったからゴールインしたんやで!」
Tくんは、こう言いながら、
反省などせずに今も暮らしているはずです。

Kくん、お幸せに。

もし、ご意見ご感想があれば、taizo.hirose@dentsu.co.jpまで
よろしくお願いします。

ではでは、また明日〜。

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