リレーコラムについて

タクシー・ドライバー

石川透

このごろ、タクシーに乗ると思うことがある。
道を知らない運転手が多い。
「あのー、その辺り詳しくないんで道教えてください」などと言われ、
気がつくと、客であるこちらが、着くまでずっと指示をしていたりする。

最近乗った運転手のタイプを分類してみた。

1.積極コミュニケーション型
  乗ったとたん、待ち構えていたように喋り出すタイプ。
  話がかみ合う場合はいい。困るのは、身の上話を聞かされるとき。
  こちらは「はあ」とか「そうですね」を繰り返すしかない・・・。

2.ノン・コミュニケーション型
  行き先を告げても返事もせず、メーターを倒すなり発進する。
  近すぎて怒ったのだろうか?などと、
  こちらはあらぬ心配を降りるまでし続けることになる。
  「ちっ」などと言われた場合は、車内の緊張は一気に高まる。
  もう眠ったふりをするしかない。

3.カーナビ装着型(その1)
  「東京に出てきたばかりでまだ道知らないんです」などと、正直に告白してくる。
  こちらは不安だが、カーナビにまじめに従いながら運転する。が、時間はかかる。

4.カーナビ装着型(その2)
  一見不安。だが目的地をインプットしていざ走り出すと、
  裏道に告ぐ裏道を抜けて、予想より大幅に早く着けたりする。
  こんなときは、かなり感動モノ。ケイタイの番号をぜひ聞いておきたい。

5.サービス精神旺盛タイプ
  ガムをくれたり、キャンディのカゴが置いてあって、
  おひとつどうぞ、なんて言ってくれる。
  テレビや雑誌をすすめてくれる人もいる。
  むげに断れないのが困るのだが。

6.自己世界構築型
  たとえば、ものすごくいいスピーカーを積んでいたりするタイプ。
  トランクに100連奏CDチェンジャーを搭載してる人もいた。
  クラシック、JAZZ、演歌。岩崎宏美大全集。
  うっかり質問したりすると、着くまで語られることになる。

7.会話割り込み型
  後ろの会話に入ってくるタイプ。これで一度ひどい目にあった。
  急死した友人の奥さんの葬式に数人で行く車内で、
  何歳だったの?とか根堀葉堀聞いてくる。
  挙句の果てには、まだ若いからもう一回嫁さんもらえるからよかった、だと。
  思わずキレた。

・・・とまあ、あげればきりがない。

“TAXI DRIVER WISDOM”という本は、
ニューヨークのタクシー・ドライバーの知恵や人生訓がつまった、ちょっといい本だ。
いろいろな悩みを抱えて乗車する客を、そっと導いてくれる。
そんな教えがいっぱいだ。人生に迷ったら、のぞいてみたい一冊。

僕の理想の運転手は、中島みゆきの歌に出てくる。

タクシー・ドライバー 苦労人と見えて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 
何度も何度も 繰り返す   

 「タクシードライバー」(アルバム『親愛なる者へ』所収)より

こんな運転手には、なかなか出会わない。

NO
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