リレーコラムについて

隠れ名店ご紹介<渋谷編> 10/2

長井和子

昨日に引き続き「飲み屋&食べ物屋紹介」です。先日、Hanako が渋谷特集をやっていましたが、渋谷って、街のスケールの割に“アタリ”のお店がホントに少ないんですよね。で、きょうはとっておきの渋谷情報、私が20 年来通っている隠れ名店のご紹介です。
別に勿体ぶってるワケではなく、10年以上前にビッグコミックに一頁で紹介されたところお客が殺到し、マスターが身体をこわし…というようなことがあったとか。松濤の住宅街にあり、高名な作家さんがカウンターで静かに杯を傾けている、といったお店なので、“お子様”を自認する人は行かないでクダサイ。
でも、とても気さくな雰囲気のお店です。「舳」と書いて「みよし」と読みます。TCC 会員では電通局次長の石田さんが通っています。ナンデモ妙齢の美女と現れることもあるんだとか、ないんだとか…。
まぁ、何がおいしいかって何でもおいしいです。春はフキや筍の煮物、山菜に始まり、初夏のかつおのタタキなんざ、もう、薬味てんこ盛り状態で、豪快に出てきます。里芋は薄味ながらコクのある味がシンまでしっかり、ユズの香りがほんのり、肉じゃがなんて言ったら、アナタ、もう…。
ここでタコぶつを食べた人は“タコってこんなにおいしいものだったとは!”と絶句。サラダは10 種類以上の野菜が入っているし、メニューは和洋中華、頼んでおけばローストビーフの生野菜ロールなんかも作ってくれます。
これからの季節はキノコ類や鍋が登場、予約のみの“いわしつみれ鍋”は、一度は食べてみる価値があります。“ヒシコ”という小さいイワシをマスターが丹念にたたいてつみれにします。牛蒡と生姜の香りが効いて、最後の雑炊まで、皆、苦しさを乗り越えて平らげずにはいられません。お酒はこれまためったに手に入らない、宇佐神宮の宮水で作った「民潮」のみ。
場所は109 から東急本店に向かい、本店角を左折、あとはひたすら山手通りを目ざします。途中、商店が途絶え、暗くなってくるので不安が増しますが、ガマンして直進してください。やがて前方に山手通りの信号も見え、「いよいよ道を間違えたか…」というころ、右側にひっそりとお店の並ぶ一角が目に入ります。その角のビルの1 F に、「舳」の小さな入り口と看板があります。(TEL03 −3469 −2344)
もう一軒、渋谷の穴場をご紹介しましょう。「渋谷」というにはチト無理があるのですが、かのHanako でも、最近“渋谷拡大の原動力”として「松見坂に注目!」と言っていたので、いいことにします。
渋谷からは東急プラザ前のバス「若林折返所」に乗ると三つ目くらいで「松見坂下」というバス停につきます。もしくは神泉から歩いて7〜8分といったところでしょうか。松見坂下の交差点を渡ると左角はワリと有名な「プリュス・セシル」という、一回では絶対覚えられない名前のバー、そして右側は最近、おしゃれなイタリアンやフレンチ、はやりの「豆腐バー」なんかもできてきました。
その一角に、ツタに覆われたあまりにもアヤシイたたずまいの小さな二階建てがあります。1 F はガラス張りで、中はオーナーである家具デザイナーのアトリエになっていて、外側の急な階段を上がったところがバーです。以前は月〜金までいつも違うバーテンさん(とかバイトさん)が担当していて、勝手に休んだりしてました。お酒を飲んでる間に下のアトリエで10 分カット(1000 円)をやってくれる美容師さんの卵もいたりしたのですが…。
そこで、火曜日だったかを担当していたのが近藤卓クン。西麻布のアムリタ(建築家のアベサンペイさんのやっているバーで、業界では知ってる人多いと思います…取材拒否なので、知らない人は知っている人につれていってもらいましょう)にいたというのが偶然わかり、すっかり仲良しになったのですが、最近、奥さんと赤チャンをつれて石垣島に行ってしまいました(ゴルフ場だってある、と、いばって先月ハガキをくれました)。
そんなわけで、今は交代制ではなく、ひとりのバーテンさんがちゃんと平日休まず営業するというシステムにかわりました。先日、千原兄弟の兄も来てました。たまたま昨年、私の関係するイベントで司会をお願いしていたのであんなところで会うとはちょっとびっくり。
このバーがなぜいいかといわれても困るのですが、超穴場的な感覚と、小さなワンルームなので自分の家にいるみたいな普段着でいられる空気、あと外の眺めが、なぜか外国の街角のようなのも気に入ってます。秘密めいたお店なのでこっそり来て下さい。(もし私に会っても、こっそり知らんふりして飲んでください)。
そう言えば、いつも勝手に“つたバー”と呼んでいるので、お店の名前を知らないことに、いま気がつきました(だいたい、名前なんてあるのか…?)。TEL ナンバーも、もちろんわかりません。
さて、あしたは西麻布特集の予定です。お楽しみに…。

NO
年月日
名前
5692 2024.04.21 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@ヘラルボニー
5691 2024.04.20 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@韓国の街中
5690 2024.04.17 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@新宿ゴールデン街
5689 2024.04.12 三島邦彦
5688 2024.04.11 三島邦彦 最近買った古い本
  • 年  月から   年  月まで