リレーコラムについて

箸休め

鵜久森徹

すごく気に入っている店が京都の祇園にあります。
多くの人には「祇園と言えば舞妓さん」かもしれませんが
私にとっては「祇園と言えばうまい店」なのです。そこは
6人程度しか座れないカウンターだけの小さな和食の店。
ご主人と女将さんのふたりで切り盛りしています。

どれをとっても申し分のないこの店の料理のなかでも
箸休めに出される「甘鯛の飯蒸し」は大絶賛の一品。
目の前に出された瞬間は、なんだかお茶漬けみたい
と軽く判断してしまったのですが、食べてびっくり。
派手さがない外見に、だまされた私が単純でした。
しっかりと歯ごたえのあるお米に、香り豊かなダシがはって
あって、その奥からさりげなく鯛の甘みが顔をのぞかせる。
細かく刻んだネギと炒ったゴマが、またいい仕事をしてるん
ですよね。聞くところによると、米はもち米を使い、
蒸してから一晩寝かせているそうです。なるほど。
原理は全然わからないけど、とにかく手間がかかっている。
しかも、この店のご主人は、えなりかずき風のニコニコ顔を
していながら、実はかなりのガンコな職人タイプ。同じ料理
でも「これはカウンターの奥」「こっちが手前の女性」と
女将さんにひとつずつ指示をだしている様子を見ながら
人によって微妙に味を変えているのだなと日本酒に酔って
ゴキゲンな頭で推測しました。やるなぁ、えなりかずき。
ただし、箸休めと言うけれど、ちっとも箸が休まらないのが
ホントのところ。それどころか箸にどんどん勢いがついて、
もっと食べたくなるのが困りもの。クセになります。
東京に戻ってからも胃袋の端っこのほうに引っかかっていて
いまだに突然、食べたくなってしまうほどですから。

あ、最後に、ひとつお願いがあります。この店の場所や
電話番号などを私に聞かないでください。誰に聞かれても、
どんなに聞かれてもお教えしないと宣言しておきます。
だって、恥ずかしいじゃないですか、
6席しかない店でばったり隣同士に座ったりしたら。

NO
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