リレーコラムについて

広告は、きれい事や建前であるべきだ。

橋口幸生

少し前、バラエティ番組に登場する
同性愛者や外国人をモチーフにしたキャラクターが
差別だとして批判されました。

僕が驚いたのは、

「差別の意図はない」
「この程度の表現も許されないなんて、
 息苦しい世の中になった」

と、同情的な声が少なからずあったことです。

もし同じことをテレビCMでやっていたら、
オンエア中止どころの騒ぎでは済まなかったはずです。
擁護する人も皆無だったでしょう。

「ウェブでは何を言うかより、誰が言うか」
ということを、あらためて思い知らされました。

広告は、企業が自分に都合のいい
きれい事や建前を言う場と思われているせいか、
(この認識は、基本的には正しいです)
クレームの対象になりやすいように感じます。

1、2件のクレームで
キャンペーンが中止になることは、
今や珍しいことではありません。

こうした風潮を、それこそ
「息苦しい時代になった」
と嘆くのは簡単です。

しかし、そんな広告だからこそ出来ること、
果たすべき役割もあります。

きれい事や建前になりがちな広告だからこそ、
むしろ徹底的に理想を語るべきではないかと、思うのです。

というのも、今や世の中の底が抜けてしまい、
身もフタもない本音が
そこかしこに溢れているからです。

きれい事や建前がしっかりあった時代は、
そこに「とはいえ本音はこうですよね」と
切り込んでいく広告が、人々の心をとらえました。

しかし、本音が暴走し、
世界が不寛容さを増している現代においては、
むしろ理想こそが必要とされているように思います。

Twitterのキャンペーンでカンヌフェスティバルの
グランプリを受賞した、クリエーティブ・ディレクターの
ジャイアンタ・ジェンキンス氏は
“Brands have the power.”と語っていました。

ブランドや企業、広告には、当事者たちが
思っている以上に影響力がある。

その使い方について考え、悩みながら、
コピーを書きたいと思っています。

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