リレーコラムについて

審査しながら思うこと。

橋口幸生

TCC賞の審査の時期です。

僕も一次審査員を担当しているので、
毎日審査用サイトでさまざまな作品を見ています。

TCCに限らず、広告賞の結果を見て、
「えっ、これが受賞したの?」
「自分が大好きだった作品が入ってない!」
と意外に思うことがあると思います。

これは、ふだん広告を見る時は
「絶対評価」なのに対して、
広告賞の審査は「相対評価」であることが
一因なのではないかと思います。

よく言わるように、日常生活において
広告のライバルは、広告ではありません。
テレビ番組、ウェブサイト、アプリ、ゲーム、
猫の動画、グルメブログ etc.
あらゆるコンテンツが、人間の持つ
限られた時間を奪い合っています。
その中で、人の心をとらえた 数少ない広告だけが、印象に残ります。

一方広告賞は、広告同士で競い合い、
優れたものを決めるシステムです。
もちろん審査員は全員プロなので、
その広告が審査ではなく、
世の中でどう見えていたかを
想定して票を投じています。

しかし、短期間で大量の作品を見る環境は、
少なからず評価される作品の傾向に
影響を与えてくると思います。

僕がいつも思うのは、
デジタルの作品を
評価することの難しさです。

デジタルにおける広告は
その時々の世の中の「文脈」を
利用していることが多い。

審査環境ではそうした文脈から切り離され、
広告は広告として独立したものとして見られる。
結果、本来の力を発揮しにくいと思います。

また、SNSでの拡散を意図した作品は、
ユーザーの参加を前提に、
「ゆるく」つくられていることも多い。
こうした作品も、緻密なクラフトの作品と並んだとき
どうしても不利です。

つらつらと書いてきて結論は無いのですが(苦笑)
TCC賞には、時代のダイナミズムと向き合ったアワードで
あり続けてほしい。そんな思いとともに、
今日も審査サイトに向かいます。

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