リレーコラムについて

セカンドチャンス

道山智之

撮影があるときはとにかく現場に早く入る。
もちろん二度寝などしない。
落ち着いた環境で企画作業や事務の整理を
すっきり終わらせてからいったほうが撮影には集中できるので
ついつい出おくれがちだが、
そこは整理ついてない状態をぐっとこらえて、
まずは現場へ入るのだ。

朝の電車はおくれがち。
たった1本の差で、
それから以降は「振り替え輸送実施します」なんてことも
ありうることだ。

現場の待機時間に、
多少効率は悪くてもえっちらおっちら
企画や事務はやればいい。
とにかくその「場にいること」で、
いることでしかわからない問題や可能性に気づくことができるし
(ちょっとかっこよく言ってますかね)、
いちばんいいのは誰かがぼくに何か聞きたいときに
すぐに答えられることだ。

CM撮影には何十人もの人がかかわることが多い。
出演の方も含めて、
これほどたくさんの方がいそがしい時間を捻出して
宇宙の地球のとある場所に一堂に会しているという
奇跡のぜいたく時間なのだ。
その濃度の濃さ、価値、ありがたみを感じることで、
一気にみんなの気持ちをひとつにして
グルーヴさせていくことができる。

1時間早く来ればすごくOK。
1時間おくれてきたらかなりアウト。
そんな密度の高い時間の流れの場に、
セカンドチャンスはない。

±1時間、たして2時間、
そんなものしかちがわないのに、
普通の日ならあっという間にすぎていく時間なのに、
ものすごく大きい。
時は金なり、以上に
時はたからものだ。

ギリギリまで
なにかやってて、
主目的のことがはじまってしまう。
撮影も、電車も、劇も、映画も、山登りも、
巻き戻してもう1回、とはできない。
だからできるかぎり前ノリで、
すくなくともオンタイムで時の流れにのっかっていかなきゃならない。
そのためにはどうするか。
やっとわかってきた(撮影についてはずっと本能でやっていた)。
プライオリティをつけること。

大事なものからやるんだ。
なんとなくだけど、
やろうと思った100のうち、
じっさいできるのは10いけばいいくらいのような気がする。
ものすごくメモをつけるぼくの
メモ帳ビッグデータを精査すれば証明できる気がする。

時の流れは人生で、
人生は時の流れにのっかっていて、
ぼくらはのっかりながら、
すこしだけ視点をかえて行きたいほうへ
行くことだけゆるされている気がする。
撮影以外ではよく「巻き戻せたら…」とせつに願うことの多いぼくが思うのだから、
きっとまちがいない。

道山智之の過去のコラム一覧

4376 2017.12.24 もう一度
4375 2017.12.21 二度聞き
4374 2017.12.20 セカンドチャンス
4373 2017.12.19 二度寝
4372 2017.12.18 2度め
NO
年月日
名前
4523 2018.08.10 鈴木拓磨 TOKYO 2100
4522 2018.08.09 鈴木拓磨 書き出し小説
4521 2018.08.08 鈴木拓磨 息子が黙ってない
4520 2018.08.07 鈴木拓磨 父がボディビルダー
4519 2018.08.06 鈴木拓磨 日本コピーライターズクラブ
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