リレーコラムについて

選挙になると思い出す

藤村君之

先日の日曜日は衆議院選挙でしたね。
今回も各党のCMやWebバナーを頻繁に目にしました。
選挙だぞー!ってなると結構な広告費が動くんですね。
僕も十数年前になりますが、福岡で仕事をしていた頃に
某立候補者の選挙活動ツールを制作したことがありました。

ポスターやチラシは何とかやれそうだけど、
政見放送の原稿が必要だと言われた時はクラッとしました。
今となっては米大統領の演説だって
超優秀なスピーチライターが書いてることは広く知られていますが、
当人が書くものだと思い込んでいました。
世の中の仕組みを知らない若造だったのです。

信念や思いを聞き出そうと訪れた事務所に現れたのは
ちょっと強面の秘書の方。俳優の大杉漣氏のようでした。
候補者の議員先生は何度も当選していて
事務所に危機感らしきものはありませんでした。
そして大杉漣氏(秘書)は、先生は来れなくなったとひと言。
さらに「キミ書いてみて。後で見ておくから」と非情なお言葉。

ノーオリエン、よくあることです。
予定していた意思決定者の不在、ざらにあることです。
でもここでかぁ。
外は夕暮れ、僕は途方に暮れて、
筑後川の土手を歩いて帰路につきました。

再訪は叶わず、それでも政見放送の原稿を
作らなければいけません。
政党の公約に地元愛をまぶして、
収録の準備としてTVカメラの向こうからでも見えるように
大きなロール紙に太マジックで原稿を書いていきました。
結果は、当然の当選。
別に誰が書いても負けることのない政局だったのでしょう。

言葉に思いを無理やり込めるのか。
思いが自然に言葉になるのか。
クライアントの方に会った時、
熱い思いを受け取るとコピーライターは嬉しくなります。

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