リレーコラムについて

ここ、変なことに使ってないよね?

白部真一

 内科と肛門科があるその病院の待合室で待つことも30分をすぎ、肛門もユルユル限界待ちくたびれたその時、お呼びがかかりました。おそるおそる病室へ。いたよいたよ、ゴリラのようなオッサンが。じゃなかったドクターが。この人が、あの美女やおじさま連中をヒイヒイいわせていた人か。な〜んて考える暇もなく、問診。そして
肛門様をみていただくことに。
 仰向けになり腰のあたりが浮くように、硬いクッションのようなものを腰の下へ。まだ、この時点ではパンツは穿いています。あぐらをかくように、足を組んだあと右手で右足、左手で左足を持ちグイッと足を持ち上げオシリをつきだしたら、あっという間に、ドクターからパンツをめくられてしまう始末。う、うまい。パンツめくり名人。恥ずかしいなあなんて思う暇もなく、ゴリラドクターの指が、ウブな肛門を攻め立てるのです。
 「あたたたたたた〜」おいゴリラ、痛てえじゃないか、はじめての女性に入れる時はやさしくしろって教わらなかったのか(あ、女性じゃないけど)。声にならない声をあげている僕をリラックスさせようとゴリラではなくドクターは声をかけてきます。「仕事はなに」「広告会社でコピーライターをやっています、あたたたたた〜」「あ、そう。あんた、ここ、変なことに使ってないよねヒヒヒ」「ま、まさか」「仕事柄、いろんなことに興味深々だろうからさ」当たっているけど当たっていない。なにいってんだこのゴリラと怒る間もなくゴツゴツした指で肛門をグリグリ攻め立てる。「はい、入ったよ。慣れたら自分で入れられるから。軟膏と座薬を入れて、お酒は控えるように」「あ、それと、変なモノも入れないようにヒヒヒ」アホか、入れるか、そんな趣味ないわい。
 まあ医学的にはてんでたいしたことのない痔だった僕ですが、はじめての、しかも自分にみえないとこだっただけに、いささか、不安が増幅されたのでした。あれから約2年。ここ半年ばかりは、肛門からお豆ちゃんも顔を出しておらず、すこやかや毎日を送っています。ありがとうゴリラドクター。
 

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