リレーコラムについて

自分情報

秋田勇人

去年一年間、僕の下に後輩のコピーライターH君がついた。
新入社員の彼は、新入社員らしくなかなか素直な青年で、
言ったことをきちんとやるし、勉強熱心でもある。

ただ、下について1ヶ月くらいたった頃だろうか。
彼の妙なくせに気付いてしまった。
僕との会話が途切れると落ち着かないらしく、
沈黙を埋めるために「自分情報」を発信してくるのだ。
先輩といっぱい会話をしようとする
その前向きさは認めるのだが、
彼の発する「自分情報」があまりにもどうでも良く、
いつも扱いに困っている。

例えばこんな調子だ。
「僕、ミッキーとミニーと同じ誕生日なんすよ!」
「僕、トマト苦手なんすけど、サブウェイのトマトなら食えるんすよ!」
「僕、ナン初めて食べたの高校生のときなんすよ!」
「僕の顔がデカいのって、噛み合わせが悪いからなんすよ!」
「僕、手がキレイなのが売りなんすよ〜!」

ツッコミたくないし、広げたくもない情報の数々。
最初はただただ困っていたのだが、
途中から逆に面白くなってきて
H君が「自分情報」を発信するたびにメモを取るようになった。
いまではそのメモが100個に到達しそうな勢いである。
その中でも僕がもっとも好きだった「自分情報」をご紹介しよう。

ある日隣の席のH君が、
やや落ち込んだ感じで話しかけてきた。
「僕ってIQの話でよくいじられるじゃないですか…?」
そう、H君はIQがめっぽう高く、
高IQ集団MENSAに属しているほどなのだ。
確かにそのネタで良くも悪くも先輩にいじられている。
しかしこの深刻な雰囲気はなんだろうか。
IQいじりが本当にイヤとか、そういうのだったらどうしよう。
僕も散々高IQをネタにしてH君を紹介しまくってきた1人として、
固唾をのんで彼の話を聞いた。
すると、H君はとんでもない秘密でも語るように続けた。

「実は僕…言語のIQは…低いんですよ!」

話によると、IQには言語と非言語があって、
H君はMENSAの入会資格でもある非言語のIQは高いのだが、
言語のほうのIQはからっきしらしい。
僕は

「あぁ…そう…」

というのが精一杯だった。
前フリの深刻さと中身のどうでも良さで、
この「自分情報」が暫定1位で気に入っている。
今後も引き続き、彼の言葉を収集していきたい。

NO
年月日
名前
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