リレーコラムについて

官位

秋田勇人

どんなに頑張っても、わらび餅に勝てない。
これは僕の前に突きつけられた、厳然たる事実だ。
なぜって、わらび餅は醍醐天皇から
太夫の位を授かっているからである。

どうやら、わらび餅が好きだった
醍醐天皇がジョーク的に太夫の位を
授けたらしいのだが(※真偽ふくめ諸説ある)、
これはエライことである。
太夫といえば、五位以上の官職を指す言葉であり、
僕のような凡人では一生かかっても辿り着けない地位なのだ。
有名どころでいうと石田光成が、従五位下。
あんなに頑張った石田光成が、わらび餅と同格なのだ。
正直、納得がいかない。

官位ネタで有名な象は、まだ許せる。
(徳川吉宗の時代に海外から象が輸入され、
当時の天皇が従四位の位を与えたという。)
こちらもかなり高い官位だが、百歩譲って許せる。
デカいし、哺乳類だし、レアだし。

名前に五位とつく尊大なサギもいる。
ゴイサギというこのサギは
醍醐天皇の命令で捕えらえて、
正五位の位を与えられたそうだ。
ただ、やはりサギはギリギリ許せる。
飛べるし、キレイだし、レアだし。
(醍醐天皇、ジョーク官位あげすぎという問題はあるが…。)

やっぱり圧倒的にわらび餅の官位は不当だ。

僕は今後もわらび餅を見るたびに、
官位のことを思いだすだろう。
そして緊張しながら、黒蜜をかけるだろう。
きな粉の表面張力で黒蜜が弾かれても、
「勘弁してくださいよ旦那ぁ…」と卑屈に笑いながら
何度も何度も、かけるだろう。
そして箸を持つや一変し、
自分よりはるか上の官位をねたみながら、
食いちぎるように食べるのだ。

わらび餅め!

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