リレーコラムについて

「斉藤のコピーは雑誌1ページのコピーなんだよなあ」

斉藤賢司

そう言われたのは2年目、いや、3年目の時だったでしょうか。
やはりコピーライター出身のCD、Bさんのコトバです。

雑誌1ページのコピー。
どういうことかわかりますか?
正直言うと、僕は全然わかりませんでした。
でも心にトゲのように残り、
自分なりにわかった気になったのは5年くらい後。
30歳頃でしょうか。

雑誌1ページのコピー。
それはもちろん、雑誌広告を軽んじているわけではありません。

商品のいろんな面をいろんな切り口で語る
シリーズの中のひとつのようなコピー。
たくさん並んでいると何かが見えてくる気がしないでもないけど、
一本だけを見て
商品のいちばん大事なことがズバッと伝わるような
鋭さがないコピー。

僕は対象に向き合うとき、
まっすぐ進んでいるつもりで
実はいつもカニみたいに横歩きするばかりで
ど真ん中に切り込む勇気がなかった。

だから周辺をためらいがちに描くだけで
核をわしづかみにすることができなかった。

むしろ、ひねったり、ずらしたり、
ちょっと変わったことを書くことがコピーだとさえ思っていた。

一言で全体を引っ張っていく力のないコピー。
小さいところばかりこねくり回しているコピー。
そういうことを、
BさんはBさんなりの喩えで言いたかったんだと思います。

「撫でてる」

と言われたことも実によく覚えています。
撫でてる。
うわっつらを撫でているだけのコピー、という意味でしょう。
グサッときますよね。
グサッときましたもん、実際。(笑)
けれど、本当にそうでしたから。

出力のクオリティが上がり、メディアが多様化し、
コピーも、たくさんのバリエーションを出す手法が
ふつうになりました。

その一方で、一本のコピーが軽くなってないかな、
と自戒します。
一本だけ、たった一言だけしか、伝えられないとしたらーー。
何を語るべきだろう?

もしバリエーションで勝負するとしても、
その意識はコピーライターなら
身にしみついてなきゃいけないんじゃないかな。
と、思うのです。

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