リレーコラムについて

コロンボ VS 犯人

安藤宏治

物事を見る目というのは、実に人それぞれ。
そのことを痛感するきっかけとなったのは、
「刑事コロンボ」だ。

ご存じピーター・フォーク演じる、一見よれよれな風貌で、「うちのカミさんがね」なんて呟いて恐妻家の一面を覗かせてみたりしつつ、いかなる難事件も必ず絶対解決してしまうという、
あの有名敏腕刑事の人気ドラマだ。

小学生の時、このドラマを夢中で見た。
もちろん、「コロンボが、頭脳派である犯人をいかに追い詰めてゆくか」の過程を味わうことが何よりの醍醐味だった。
誰もが、コロンボの視点で、完全犯罪成立直前の犯人の裏をかき、隙を突き、真相へとじりじり近づいてゆく悦びを感じるドラマだと、大人になるまで私は信じていたのだ。

だが、大人になったある時、それがとんだ勘違いだったことに気づいた。やはり小学生の頃から夢中でコロンボを見ていたという妻は、平然と言い放ったのだ。自分はつねに、犯人の立場からコロンボを鑑賞してきたと。

「コロンボめ、今回もねちねちとしつこいな。今日こそ逃げ切れ! 逃げ切るんだ、犯人!」

手に汗握りながら、逃げ切れるわけはないと重々承知しつつも毎回、必死で犯人の立場に立って、スリルを味わっていたという。さらに驚くべきことに、「みんなそうだよ。それが、刑事コロンボだよ」と清々しいまでにきっぱり言い切ってみせる。

こんなに長年身近にいた人間が、まったく正反対の視点から古典ドラマを眺めていたとは。

さて皆さんは、一体どちら? 
コロンボ派? 犯人派?

安藤宏治の過去のコラム一覧

4015 2016.01.16 離見の見
4014 2016.01.14 アクション号泣
4013 2016.01.13 コロンボ VS 犯人
1764 2006.09.01 わかりにくい例え
1763 2006.08.31 韓流道
NO
年月日
名前
4613 2019.02.20 北田有一 平成最後、の謎が解けた説
4612 2019.02.12 北田有一 話題はそんなに話題じゃない説
4611 2019.01.25 藤田卓也 若手大賞で感じた若い世代の感覚
4610 2019.01.24 藤田卓也 買ってよかったもの2018
4609 2019.01.23 藤田卓也 書を捨てよ、町へ出よう。そして捕まえよう
  • 年  月から   年  月まで