リレーコラムについて

韓流道

安藤宏治

一世を風靡し、一時は広告業界までもその渦に巻き込んでしまった<韓流ブーム>。世の中的にはかなり落ち着いたかのように語られているが、はたして、我が心の中ではその渦はさらに大きくなる一方である。もう終生、自分の“韓国好き”は、終わる事がないと確信している。

きっかけは、やはり 『冬のソナタ』。怒涛のストーリー展開と伏線の効いた台詞の見事さ、そして多分に漏れずヨン様の素敵さに、やられた。 “感涙地雷地帯”とも呼びたいこの名作ドラマを、しかし周りのクリエイターに聞いてみれば、そのほとんどが「まだ見てないんですよ」と答える。その言葉の裏に「一生見る気もないんですけどね」との意志を感じることさえある。淋しい…。語り合える友がいないのはちょっぴり淋しいから、俺は今日も『パチンコ・冬のソナタ』を打って、大当り画面を見ながら、涙にむせぶ。

『私の名前はキム・サムスン』『12月の熱帯夜』『屋根部屋の猫』などなど、数々のドラマをこなす傍ら、映画も見なければならない。そんな時、大久保で買ってきたリージョンフリーのDVDデッキが威力を発揮する。韓国で買った日本未公開映画に、また涙。あるいは爆笑。夜中3〜4時頃の我が家は、かなり騒がしいことになっているだろう。

K-POPは聞くに止まらず、カラオケで歌う事に血道を上げた。初めは意味も分からず歌詞のルビを追っていたが、韓国語を勉強していくうちに歌の内容が頭に入ってくるようになった。だんだん難易度を上げたくなり、最近ではラップばかりチャレンジ。歌いたい方にはDAMがオススメです。曲数や選曲が、他とは一味違うと思う。

そうこうしながら、我が韓流ブームは、ついに韓国のバラエティ番組を見るに事が及んだ。
番組名は『夜心萬萬』。韓国人の恋愛や人生にまつわる多様な問題が出題され、国民インターネット調査の結果どんな答えが多かったかを当てる、いわば『クイズ100人に聞きました』形式の番組。解答者は映画俳優やアイドル歌手ら豪華ゲスト陣で、自らの体験を織り交ぜた彼らの赤裸々な話が聞けるのもまた楽しい。女性アイドル歌手がステージ上ではプースカおならしていると暴露されたり、女性バラード歌手がオシッコ我慢できなくてエレベーターの扉の隙間にしたと自白したり。日本ではちょっと考えられないような芸能人たちの迫力トークから、まったくもって目が離せない。

そして、この番組でもう一つ注目してしまうのが、MC務めるキム・ジェドンの一言一句だ。ルックスは決してイケてない。黒縁眼鏡に細い釣り目、ちょっと出っ歯で歯茎も見える。昔の外国人が描く日本人のイラストを想像してもらえば、おおかた間違いない。そんな顔つきのジェドンが要所要所で挟む言葉には、大いなる叡智と優しさに満ち溢れている。
ある男性タレントが「お前はなんて顔がデカいんだ?」と嘲笑われる。別のタレントが「いや彼は顔がデカいのでなく、極端に肩幅が狭いんだよ。」と違う切り口でまた嘲笑う。客席もドッと湧く。ちょっと気落ちした表情の男性タレントに、ジェドンはニコニコしながらこう言う。
「自分の欠点を長所と見てくれる異性と付き合いたいですよね。『俺、極端に肩幅が狭いんだよ』 『何言ってるの? あなたの肩は、これから飛び立つための翼が生えるのを待っているだけなのよ』みたいな。」

言葉の錬金術師キム・ジェドン。誰も傷つけず、誰も嘲笑わず、癒しのオーラを放ちながら周囲を笑わせるキム・ジェドン。自分より年下ながら、こんな男になりたいとついつい思わざるを得ない。そして心の中で叫ばずにはいられない。
「ジェドン・ヒョーン!!!」(“ヒョン”は韓国語で“兄貴”の意味です。)

ああ、また韓国行きたい。

安藤宏治の過去のコラム一覧

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1764 2006.09.01 わかりにくい例え
1763 2006.08.31 韓流道
NO
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