リレーコラムについて

『トレイシー・ローズ』

松井琢磨

あるコピーライターのウィタ・セクスアリス

第2回『トレイシー・ローズ』

「加齢臭は耳の後ろから発生しているらしい」と初日のコラムを書いた後、
実は加齢臭は背中から発生しているんだぞと、おせっかいな、いや親切なひとが教えてくれました。

今まで耳の後ろを洗うのにかけた、膨大な時間はなんだったのかと
途方にくれている松井です。

今日も引き続き、
青春時代に僕を「刺激」してくれたものたちを懐かしむのが
セクスアリス的本コラムの趣旨でして、

第2回の今日は『トレイシー・ローズ』です。

大人になったいま冷静にググってみると
どうやら伝説のポルノ女優らしいということなんですが、

「猿」軍団だった当時の僕らはそんなことぜんぜん知りませんでした。
というより、失礼なことに顔も覚えていませんでした。

トレイシー・ローズを僕に教えてくれたのは、
中学時代の愛すべき友人A君でした。

A君は、ちょっとだけ、いや、かなりヤンキーな方面に自分を振り切っており、
TCC会員の誰もが道を譲りたくなる香ばしいルックをしています。

まったくといっていいほど勉強ができませんでしたが、
授業中は決してクラスの邪魔をすることなく、

コンパスの尖った針で、
ひたすら「おっぱいの彫刻」に没頭する心優しきジェントルマンでした。

A君は、僕らがたまり場にしていたトイレで
(なぜトイレをたまり場にしていたのかは、
自分でも理解に苦しむところがあります)

突然こういったのです。
「お前ら、女のアソコみたことあるか?」

食品メーカーに勤めていたA君の親父は、
エロビデオライブラリーを自宅のタンス奥に隠し持っていました。

たとえ見つかったときにも、家族に興味を持たれないように、でしょうか。
ビデオテープにはすべて釣り関係のタイトルがついていました。

「渓流アユ釣りレッスン」とかそういう。

無駄に達筆なのが哀愁をそそります。

A君は、手慣れた仕草でそのうちの1本を抜き取りました。

A君の親父の手に渡るまで、何度もダビングを繰り返した結果なのか、
ノイズがひどかったのを覚えています。

映っていたのが、トレイシー・ローズでした。

見終わったあと、僕らは全員無言になっていました。

どうしても見たかったはずのものが、そこにあったのに。

不思議と誰もその話をせず、
チャリンコで三々五々に帰宅しました。

※トレイシー・ローズ。1968年米国生まれ。
ポルノクィーンの異名をとる、伝説のセクシー女優

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