リレーコラムについて

下ごしらえ

秋田勇人

あさた  「おい、みんな!呼吸ができるぞ!」
あさお  「ほんとだ!俺たち、助かったんだ!」
あさこ  「そうかしら?ここ、いったいどこ?」
あさお  「これは罠だ…罠に決まってる!俺は騙されん!」
あさじろう「うるせえ!生きてるだけありがたく思え!」
あさやん 「そうだ!めでたい時に、水差すんじゃねぇ!
      頭カチ割るぞ!」
あさお  「なんだと?やんのかコラァ!」
あさみ  「やめて!みんなおかしくなってる!」

その時、沈黙を守っていたあさじいが口を開いた。

あさじい 「皆のもの、落ち着きなさい。
      喜びに舞い上がるのも、不安を煽るのも、
      やめなさい。
      ただ、いま呼吸できることに
      感謝して、大きく深呼吸をしなさい。
      わたしたちはきっと助かる。」

あさじいの言葉に、みなが口をつぐんだ。
一つ二つと深呼吸の音が聞こえはじめ、やがて全員に広がった。

あさぼう 「スー…ハー…お父さん、ぼくたち、大丈夫だよね?」
あさたろう「あさじいも、ああ言ってる。
      すぐ故郷に帰れるさ。
      そしたら、プランクトンいっぱい食べて、
      カニとかくれんぼしよああああぁぁあぁ」

30分の砂抜きを終えたアサリたちは、
強火で熱したフライパンへ放り込まれた。
ほどなくして、アサリの酒蒸しが出来上がった。

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