リレーコラムについて

コピーvsジブン ~ひさびさの大仕事がやって来たぞ篇~

和田佳菜子

愛知県は交通事故死者数が日本一多い。
これは、この地域にいるととてもよく耳にする事実です。
ACの地域キャンペーンでも何度も
交通事故に関する広告が作られてきていました。
そんな大きくて深刻な社会問題に
真正面から向き合わなきゃいけない仕事がやってきました。
2012年でワースト1を10年連続記録してしまった愛知を
さすがに地元メディアとして放っておくわけにはいかないと、
電通中部と新聞6社・ラジオ4局が立ちあがったのです。
このチームにありがたくも加えて頂いたのが昨年春。
新聞各紙をドーンと使えるというのもあり、
コピーライターとして心底、血の騒ぐ思いでした。
新人賞前に取り組んだ「親子で考える環境問題」以来の、
実作業で“コピーを存分に書ける”大仕事!
スタッフもみんなメラメラと燃えておりました。

だけど、ちょっと冷静になってみると、
これまた再三わたしが苦手意識を示している「手垢」案件です。
それも、愛知県では超ド級の「手垢」ぶり。
1年前を振り返るだけでも都築さんが作られた
東海テレビの「交通事故で、死なない。死なせない」が
ギラギラと威光を放っています。リアルの生々しい力。
それを知った上で、自分たちはどう攻めていくのか。
ADの土橋通仁さん、コピーライターの新志康介さんとともに
スタート地点から頭を悩ませていました。
そして散々考えた挙句に辿りついたのが
“実際のアクションへ導く強さ”で勝負しようということでした。
恐怖訴求の優れた作品はたくさんある。
「交通事故は恐い。巻き込まれたくない。気を付けないと。」
そこまでの読後感を引き出すものはたくさんある。
だけど実際に暮らしている人たちは、
「どうやって気を付けるのか。」までイメージできているのか。
実際の「自分のアクション」に思いを馳せているだろうか。
そんな思考から「AICHI SAFETY ACTION」は始まりました。

幸い、愛知県や名古屋市、愛知県警も巻き込めたので、
交通課にしつこくヒアリングして「事実」を洗いだしました。
県民が気を付けるべき時間・場所、事故死者の年齢・傾向などなど。
資料も各方面から取り寄せて「アクション」に繋がるデータを蓄積。
知れば知るほど、純粋に「県民に教えなくては」という思いも募り、
「手垢」のついたかに見えるテーマでも
“新しい発見”をコピー化していくことができました。
20代の仕事という意味では自分の集大成だったように思えます。
(新志さんの新人賞とともに今年の年鑑に掲載予定です)
いっしょにコピーを磨いて下さった土橋さん、新志さん、
客観的視点を下さった尾崎敬久さん、佐藤大輔さんに感謝感謝です。

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