リレーコラムについて

「これはコピーじゃない」

新志康介

私は社会人13年目になります。
いまは違うかもですが、私が入社した当時はクリエーティブ試験に合格さえすれば
3ヶ月前までただの大学生だった人間がいきなり「コピーライター」になれました。
「コピーライター見習い」とかではなく、
「コピーライター」と名刺に刷ってもらい、渡されるのです。
養成講座や広告の学校に通ったこともない私は焦りました。
広告制作者になれたことは嬉しかったけれど、それ以上にこの先やっていけるか不安でした。

それから12年。やっとTCC新人賞をいただくことができました。
あのときの不安は薄らいだけれど、危機感は募るばかりです。

まわりの同期や仲間たちが、いいコピーを書いているのはもちろん、
話題になる大きなキャンペーンを成功させていたり、
国内外の様々な広告賞を穫っていたり。

そんななか、私はまだ、コピーというものがわかっていない。

お恥ずかしい話ですが、この年次になっても私は書いたコピーを先輩方に
見てもらったりしています。
そのときに、よく言われることがあります。

「視点は悪くないけど、これはコピーじゃない」

また、

「この切り口だけもらえたら、もっといいコピーに仕上げられる」

と言われたこともあります。

コピーって、なんなんだろう。まだ私にはわかっていない。
でも、だからこそ、先輩方に言われたこの言葉があるから、
いままでも、これからも、コピーと向き合える気がします。

運や時代性もあって、やっと届いた新人賞。
でも、これからが本当の勝負だと思っています。

これは、コピーなのか。
「そのコピーがない世界とそのコピーがある世界。なにが変わるのか」
これからも、もがき、苦しみながら、コピーライターをやっていこうと思います。

これで私のコラムは終わりです。
読んでいただいた方、つたない文章にお付き合いいただき、
本当にありがとうございました。
初めて書いたコラム、大変だったなぁ。

次にバトンを渡すのは、都築徹さん。
コピーを見ていただくことも多い、すごく尊敬している先輩の1人で、
僕が知る限り、最上級にストイックで、ハングリー。
とことん強い表現を追求していくコピーライターです。
では、都築さん、よろしくお願いします!

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