リレーコラムについて

美人の匂い

岡村雅子

17の松尾卓哉さんからボタンをもらった電通べトナムの岡村雅子です。
松尾さんを一言でいうとBrave。だから声援したくなるんだな。
うん、スポーツ選手を応援する感じ。
これからもいいプレイを見せてくださいね。

なお先ほどアメリカについたばかりで、
仕事は山積みだわ眠いわで推敲などしてませんがご海容を。
以下エッセイは、文体を変えて書かせていただきます。

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美人の匂い

つい先ほどSanta Barbaraという小さな街に着いた。
One Showという世界三大広告賞の本番審査に参加するためである。
ここまで来るのは長い道のりだった。深い意味はない。文字通り。
パタヤーバンコクー成田ーロスアンジェルスーサンタバーバラ。
一日でこれだけ移動したのははじめてかもしれない。
ずっと三陸を離れなかったユイちゃん(注:あまちゃん参照)にこのことを話せば、間違いなく
「じぇじぇじぇ」と言ってもらえるはずだ。

事件はロスアンジェルス空港で起きた。
ここのセキュリティチェックは、ニューヨークに次ぐ厳しさで有名だ。
国内線でも、20人近くの係員が一つのラインに配置されている。
皆たんたんとジャケット、ベルト、ケータイ、小銭、帽子を身からはずし、靴を脱いでいく。
私の前に並ぶ女性ー褐色の髪は肩より少し長い。
身長はアメリカ人にしては小さく160cm程度。黒いシャツに
黒いスキニーパンツを履き、バレエタイプのローヒールを履いているー
が、背中から、もの凄い美人オーラを発している。
これはどこかでご尊顔を拝見しなくてはいかんと、女の分際でときめく私。
係員たちも彼女をちらちら横目で見ている。
チャンスはすぐやってきた。
靴を脱ぐ段になって、彼女が急に落ち着きをなくし、きょろきょろしはじめ
そして後ろを振り返った。
きゃあ、眼鏡をかけたアリッサミラノみたい。案の定彼女はすこぶる美人。
以下アリッサと呼ばせてもらう。
私が男なら、このチェックが終わったあとで絶対アリッサからケータイ番号を聞き出す。
ところがアリッサは係員たちと、
靴を脱げ、いやだ、脱げ、いやなの、絶対いや、と争いをはじめた。
ついに奥から偉そうな人が出て来て、脱がないなら飛行機には乗せないときっぱり。
もしかしてアリッサは靴の中に爆弾でも忍ばせているのか。
そうか、そうなのか。
見守る観客にも緊張が走る。
瞳を閉じて覚悟を決めたアリッサが、静かに靴を脱いだ。
するとその瞬間、強烈な匂いがあたり一面に拡散した。
くさやのひものより、くさい。
スウェーデンの臭い缶詰シュールストレミングに勝てるかどうかはわからないけど。
鼻がもげそうなにおいというのは、こういうことなのか。
数人後ろに並んでいた子どもが泣き出した。
まるでCMの世界である。
いまファブリーズを取り出してシューすれば、あなたはたちまちヒーロー。

さすがなのは係員たちである。
何事もなかったかのように、作業を遂行する。
Professionals in America.
私も息をとめて自分の身の回りのものを速攻ではずして検査にかける。
被爆するというので不評なBody Scannerであるが、
カプセルに入り、まわりと断絶されてスキャンされる数秒感が
これほどうれしかったことはない。

みなさんが男なら、絶世の美人なんだけど超絶足がくさい女性と
結婚することはできますか。

空港からホテルにつくまで私はずっと考える。
答えは意外と簡単に出た。
みんながいるDinnerの場に私はちょっと遅れて参加した。
One Showは、審査の厳格さも有名が、審査員を手厚く
お・も・て・な・しすることでも評価が高い。
世界のクリエーティブが審査員になりたい広告賞ナンバーワンだ。
「みんなMasakoが来たから、あらためて乾杯だ。Masako,何を飲む?」
「せっかくサンタバーバラに来たから、赤ワインを」
「Cheers!」
「あれ、味がない。このワイン、死んでない?」
思わずつぶやいてしまった私。
「Masako, これはxxxxxx(スゴいワイン)の2010年だよ。こんな見事なフルボディは近年まれなんだけど」
そう、アリッサの匂いは、私の嗅覚だけでなく味覚までも破壊してしまったのである。

ところで、中学校のときに「あしくさ」ということばをデートの意味に使っていたことがあった。
あれは何から来ているんだろう。
匂いは、人間のやわらかいところを刺激する。

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