リレーコラムについて

男女ポケット論

河西智彦

男のポケットは忙しい。

先週末、妻と息子と買い物に出かけるとき、
「またポケットパンパンにして!」と注意された。

片方に家の鍵。
もう片方にプライベートケータイ。
そして後ろポケットに財布。

パンパンと言われればそうなのだが、
ただ、これって男のポケットの基本装備じゃないだろうか。
(さらに言うと会社用ケータイも自転車の鍵もあり、
本気を出せばパンッ!パンッ!にまでできたりもする)

その日以来なんとなく他の男性のポケットを見ているけれど
(男性の下半身を凝視するという行為が実に危険なことも
知った)、やっぱりたいていの男のポケットはパンパンだ。

どうやら妻をはじめとする女性陣にとって、パンパンポケットは
「スタイルが悪い」「かっこわるい」と不評のようだが
その不理解の理由は女性とバッグにあると見ている。

パンパンポケットの女性を見かけることはまずない。
それは彼女たちがみんな、
なにかしらのバッグを人生の友としていて
そこに財布やらケータイやら化粧道具やらを預けているから。

女の人生は常にバッグとともにある。

よって彼女たちには、
ポケットをパンパンにする理由がまったくわからないようだ。

さて、そんな妻に言われ、
今週僕はバッグの中に財布とケータイを入れ、
ポケットには家の鍵のみ、という状態で生活している。

が。

これが、漏らしそうになるぐらい、馴染まない。
何日経っても馴染まない。

頭の中をよぎるのは、やはり盗難。

バッグのファスナー開けられてないだろうか、の心配や
20分に一度「あ、財布財布、よし、ある」のような余計な
確認行為だけが増え、女性たちみたいにバッグに
人生を預けることができない。

あとメンドクサイのは
絶えずバッグを持ち歩かなくてはいけないこと。
ちょっとそこまで、
の時にバッグを持っていくメンドクサさと言ったら、
半端ない。嘘だけど、腕一本折られる方がまだマシだ。

ただその反面ちょっと怖いこともあって、
それは
スッキリポケットが徐々に心地よくなっていること。
病みつきになりそうな気もする。

あと、バッグを持たずにフラッとでかけるとき、
つい財布とケータイを手に持って歩いていたりする。
丸の内OLか!
と自らに愕然としつつも、彼女たちは
自分たちをかわいく見せるために財布を手に持つのではなく、
バッグを持たないが故の「仕方ない行為」なんだとも、
気づくことができた。

ポケット一つでたくさん気づけるなんて、
やっぱりいくつになっても初体験って人間を成長させますね。

果たして1年後、僕のポケットはどうなっているのか。
街や会社で僕を見かけた人は、
ポケットのパンパン具合を見てください。
下半身ではなく。

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