リレーコラムについて

ブータン国王はストロンチウムの夢を見るか。

橋口幸生

どもども、電通の橋口です。

師匠の湯屋さんからバトンをいただきまして、
今週、二回目のリレーコラムを担当することになりました。

よろしくお願いします。

さて、もう話題として賞味期限切れな感がかなり強いですが、
先日ブータン国王夫妻が来日しました。

国民総幸福量を提唱する、神秘の王国のリーダー。
感動的なスピーチやキレイな奥さんはもちろん、
若くてイケメンな国王自身も話題になりました。

個人的には、若い頃の猪木に似てるなぁというのが、
いちばん印象に残ったことなんですが・・・(笑)。
アミン大統領と試合したり、税金で永久電気の開発をしたりしないかと、
余計な心配をしてました。

閑話休題。

みんながあまりにブータンを持ち上げることに、
正直、僕は違和感を抱いてたんですよね。

西洋的な文明に無いものや失ったものを、
安易にああいう国に見出していい気分になってるのって、
どうなのかなぁと。

確かにブータン国王は、猪木似であることも含めて(笑)、
なかなか魅力的な人物です。

でも、そんな彼が率いるブータンが完璧な国かというと、
そんなことは無いワケで。一度調べたことがあるのですが、
北部と南部で民族対立があったり、
それが原因で何万人も難民が出ていたり、
それなりに色々あります。

別に悪口を言いたいわけではなく、
ブータンは理想郷ではなく
他の国と同じように問題を抱えているし、
国王も別に救世主じゃない、ということです。

ただでさえ経済がパッとしなかった上に、
地震に津波、原発まで爆発した今の日本で、
強力なリーダーの登場が望まれるのは、
自然なことなのかもしれません。

でも「えらい人やかしこい人が、何とかしてくれる」という
発想そのものが時代遅れというか、
もうこれからは通用しないんじゃないでしょうか、

考えてみてください。

えらく、かしこいとされてきた人々が
いざという時どれだけ頼りなくアテにならないのかを、
僕たちはこの9ヶ月思い知らされて来ました。

原発事故以来、さかんに議論されている電力のあり方も、
デカい発電所から一気に送電するという今のやり方から、
各地で小規模に発電したものを相互にやり取りするスタイルに
変わっていく、と言われています。

社会の運営を一部の人に任せられた時代は終わり、
これからは僕ら1人ひとりが頭を悩ませ、
決断しなくてはいけないのだと思います。

Time誌は今年の顔に「プロテスター(抗議者)」を選びました。
中東やアフリカの民主化がカリスマ的なリーダーではなく、
1人ひとりの行動により実現したのは、確かに象徴的でした。
Time、さすがのセンスです。
2006年に「You=あなた」が選ばれていることを考えても、
これが時代の潮流なんだなと思わされます。

もうすぐ今年も終わり。
2012年が、日本の顔として
「You=あなた」が選ばれるような年でありますように。


ブータンについては、僕が文章を書いた
「秘境国」という本に詳しく載ってます。
http://ow.ly/1Cl16F
興味にある方は、ぜひ!
なんとかキレイにまとまったところ余計な宣伝、スイマセン(苦笑)

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