リレーコラムについて

かな

藤本宗将

やっと最終日です。
きょうもキーボードに向かって深夜にカタカタ書いてます。

本当は「コラムの執筆」なんていうと
モンブランの万年筆とかこだわりの道具で
かっこよく書きたい気分ですが
キーボードのほうが圧倒的に便利ですからね。

とはいえデジタルなりに
僕なりのこだわりというのはありまして。

Macじゃなきゃダメとか
フォントはS明朝ソフトW3が好みとか
まあいろいろあるのですが、
いちばん人と違うだろうなと思うこだわりが
日本語の入力方法です。

多くの人は「ローマ字入力」だと思うのですが、
僕は「かな入力」を使っているのです。

かな入力では、キーに書いてある
ひらがなの通りに打ちます。

ときどき撮影の現場とかで
自分のMacを人に貸したりすると、
借りた人はたいてい奇声をあげます。
ローマ字入力の人が僕の設定のまま使うと
へんな文字が打ち込まれちゃうのです。

例えば

 わたしはこぴーらいたーです

と入力しようとすると

 てちかちとくにくちのらせにほすちにかちほしいとなる

みたいになっちゃうわけです。

そのたびにみんなから
変わり者扱いされるのですが、
かな入力に20数年こだわりつづけてきたのには、
僕なりの理由があります。

はじめてワープロを買ったとき高校生だった僕は、
どのキー配列を覚えるべきかをまず考えました。
これから一生使うことになりますし、
あとで覚え直すのは嫌ですから、わりとまじめに考えました。

まず効率性。

さっきの例文をもういちど見てください。

 わたしはこぴーらいたーです

 てちかちとくにくちのらせにほすちにかちほしいとなる
 (=watashihakopi-raita-desu)

かな入力のほうが明らかに
キーを打つ回数が少なくて済むのがわかりますよね。

アルファベットは26文字だから
ひらがなよりキー配列が覚えやすいと言われますが、
それは最初のうちだけのこと。
いちどキー配列を覚えてしまえば
かな入力のほうが絶対に速いはずなのです!
(と高校生の僕は考えました)

そしてもうひとつの理由。

「か」という文字を「k」「a」と分断してしまうことに
激しい抵抗感を覚えたのです。
なんだか頭の中で言葉がバラバラにされてしまって、
日本語が日本語でなくなってしまうような気がしませんか。
(と、高校生の分際で考えました)

こうして僕は、かな入力派となりました。

まあすでに当時から主流はローマ字入力でしたし
あえて少数派たることを選択したわけですから
変わり者扱いされるのはいいのですが、
最近困ったことが起きています。

なんとiPadには、かな入力が搭載されていない!
アップデートで改善されるかと思ったら、
いまのところその気配なし。
本気でスティーブ・ジョブズにメールで直訴しようかと
思っていたのですが、残念ながら彼はもういません。

とうとう最近では

「かな入力なんてどうせなくなるんだから、
 観念してローマ字覚えたら」

と、僕に転向をすすめる人さえいます。
ひとを絶滅危惧種みたいに言わないでください。

このままでは、いけない。

日本人がみんなローマ字入力を
使うようになってしまったら、
かな文学を確立した紫式部や清少納言は
きっと悲しむに違いありません。

だいたいローマ字ってなんですか。
外国語でも日本語でもないあの中途半端な存在。
小学校で習ったときから子供心になんか許せませんでした。
ローマ字のくせにローマで使われてもいないし。
あとヘボン式とか、なんか語感がヘボいし。
(※個人の感想です)

いまこそ同志が団結すべきだと思うのですが、
自分のまわりでは、かな入力派の人を知りません。
いらっしゃいましたらぜひご一報ください。

いつか、かな入力が主流にならないかな。

無理、かな。

一週間ありがとうございました。
6人の方から「見たよ」と言っていただきましたが
果たして何人くらい見てくださってたんでしょうかね?
今からでも遅くはないので
対面でもメールでもTwitter(@fujimotors)でもFacebookでも、
温かいコメントをお待ちしています。
「つまんなかった」とか
「最近また太ったんじゃない?」
的なコメントは結構です。
それは胸にしまっておくのが
良識ある大人の優しさというものですよ。

さて来週の担当は、
僕とTCC同期であり
会社では隣の席に座っている先輩、
本多集さんにお願いしました。
ADでありながらTCC会員!という
本多さんのコラム、僕も楽しみにしています。

藤本宗将の過去のコラム一覧

3096 2011.11.25 かな
3094 2011.11.24 満足
3093 2011.11.23 遠近
3092 2011.11.22 軽重
3091 2011.11.21 多少
NO
年月日
名前
5691 2024.04.20 長谷川輝波 #マイナス5キロジーンズ@韓国の街中
5690 2024.04.17 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@新宿ゴールデン街
5689 2024.04.12 三島邦彦
5688 2024.04.11 三島邦彦 最近買った古い本
5687 2024.04.10 三島邦彦 「糸井重里と仲畑貴志のコピー展」のこと
  • 年  月から   年  月まで