リレーコラムについて

天麩羅屋にて

下田一志

先日、浅草にある天麩羅屋さんに行ってきました。
天麩羅屋といっても、商店街にある、ゴボウ天、アジのフライも
ありますヨ!といったお手軽バージョンではなく、
門構えドッシリ! 玄関の打ち水シッカリ!、
盛り塩ビヨ〜ン!の、それはそれは腰の引けるような雰囲気を
漂わせる創業寛永五年(これは私の勝手な想像。
それくらいの老舗という意味)クラス天麩羅屋でした。
玄関先で、ま、まさか、ここではなかろうと顔を見合わせた
私と妻でありました。
だってだって、妻はHanakoで、この店、探したんだも〜ん。
Hanakoに、そんなドッシリ天麩羅屋、出てる訳ないもんネ。
でもでも、やっぱりソコだったんです。
…で、ビビリながらも、目の前で揚げてくれる天麩羅を
頂きました。おいしゅ〜うございました。
最後に、目の前の板さん(天麩羅屋さんでも、板さんって
言うのかなぁ? でも揚げさんとか、油さんって
言わないしなぁ)が、
「揚げ玉、持って帰ります?」って、のたまうのです。
「揚げ玉??」
大阪生まれ大阪育ち、血管の中にお好み焼きとタコ焼きの
ソースが流れている、私たち夫婦が、初めて接したワードです。
額を寄せ合い「揚げ玉って、何やろ?」と協議する
いたいけな夫婦二人。
意を決し、夫婦を代表し、世帯主である私は聞きました。
「あの〜、揚げ玉って、何ですか?」
意表を突かれたのか、そんなコトを聞く客は、
かつていなかったのか、板さん(やっぱり板さんって変かなぁ)
は、怪訝な顔をし、
「…ああ、これです」
と言ってナイロン袋に入ったものを指すです。
「なんや、天カスやないか」
「ほんまや! 天カスや。揚げ玉やて、コレ。
 なんかエエカッコしてへん。天麩羅のカスやから、
 天カス。大阪やったら、そんなこと言えはんわぁ」(妻の言葉、
 もちろん小声で)

東京で、天カスって言いませんか?
カルチャーの違いというか、スタイルの違いというか、
いまだにしみじみ感じる今日このごろです。
ついでに言いますケド、
「モノもらい」っていう言葉、上品過ぎると思いませんか?
あれは「メバチコ」と言うんです。

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