リレーコラムについて

「生みだす」を考える。(前編)

鶴香奈子

よく、仕事の調子のことを「難産」とか、
出産に例えて言うことがありますね。
(「安産」は残念ながらあまり聞かない気がしますが)

実際私は18日前に、赤子を生んだところでありんす。
生まれて初めて生んだのでありんす。

出産に対しては、不安より期待と楽しみの方が勝ってました。
臨月に入ってからも、
「いつ陣痛が来るっちゃろ?どがん風に来るっちゃろか??」と
ドキドキ・ワクワクを楽しんでいたくらいです。

その瞬間は、突然訪れました。

私は里帰り中の実家のリビングで
いつもどおり家族と過ごしていました。
夜もふけ、眠たくなってきたので
CDのIさんに今日もこき使われたとわざわざ東京から電話で愚痴る夫に
おやすみを言い布団に横になりました。

ちょうど夜中の2時をまわったときです。

おなかに「ブツン」という違和感があり、目を覚ましました。

「?」

なんとなく体を右に傾けてみると、水がサーッと流れ出していくような感覚。

破水でした。

急いで母を起こしました。
しかしこういうとき母親って、
自分も(大昔)生んだことあるもんだからムダに冷静。
冷静すぎて、すでに陣痛の感覚が3分おきになってる娘に向かって一言、

  母 「んなワケないない(笑)」

カンベンしてよ・・・

そんなウソつくか・・・

娘やめるぞ・・・

なんとか信じてもらえて、やっとの思いで産婦人科へ到着。
定期的に収縮する子宮の痛み、陣痛。

いよいよ、はじまるんだ・・・

すると、助産師さんから
すでに子宮口が7〜8センチ開いていることを聞かされます。
(初産ではそこまで行くのに10時間越すこともざらなのだそうです。
 私は破水で目覚めてからこの時点まで、約40分程度でした)

産婦人科の母親学級で、

「陣痛は、『痛』と書くばってん、
 『痛』ばかりに気を取られたら、苦痛なもんでしかなか。
 陣痛の正体は、『子宮の収縮』。
 子宮が収縮せんば、赤ちゃんには会えんとばい」

「陣痛って、母ちゃん(※妊婦のこと)の苦しみのことと思いよるやろ?
 いちばんきつか思いばすっとは、赤ちゃんよ」

そんな話を聞いたことを
分娩台に横たわったまま必死で思い出していました。

けど・・・・やっぱり、、、、痛い。。。

1〜2分おきにくる波が毎回
10年に1度の忘れられたビッグウェーブ並みに痛い。
でも、「痛い」って口に出したら、
赤ちゃんに苦痛を押し付けるみたいで、いやだった。

ひたすら息を吐く。
ちっとも痛くなんかないフリをする。(誰にって、自分に。)
ほんとは吐きそうに痛い。
いまどの段階なのかもわからない。
このつらさが、あとどのくらい続くのかもわからない。
ひたすら、息を細く長く、吐くことしかできない。

もうダメ。

負けそう。

「痛い」って、言っちゃいそう。

いや、負けない。負けそう。ダメだ。

そのときだった。

                      つづく

     〜本日の育児日記〜
      (生後17日め)

  4:00 おっぱい
  7:20 うんち おしっこ おっぱい
 10:40 おしっこ おっぱい
 11:40 おふろ
 12:00 おしっこ おっぱい
 15:30 おしっこ おっぱい
 16:30 おっぱい
 19:40 うんち おしっこ おっぱい
 21:20 うんち おしっこ おっぱい
  0:20 おしっこ おっぱい
  1:40 おっぱい

NO
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