リレーコラムについて

あのときを、語ろう。〜骨を折っても、損はしていないという悦び〜

勝浦雅彦

顔の骨を折り、靭帯を断裂し、あばらを剥離骨折し、
それでもずっと続けているスポーツがあります。

ここ九州に来てからいくつかの広告賞を頂くことができ、その年鑑等に載せる
顔写真が必ずサッカーのユニフォーム姿であるため、よく
「サッカー、上手なんですか?」「ずっとサッカーやってるんですか?」
という質問を受けます。
答えは明確で、下手です。そして、始めたのは社会人になってからです。

僕がサッカーを始めたのは、社会人になって三年目の日韓ワールドカップが終わった
ばかりの頃。あの空前のサッカー熱は「草サッカーバブル」を生み、
そこかしこに寄せ集めのサッカーチームが大量に作られていきました。
ワールドカップを見に行った僕にも(アイルランドVSサウジアラビア戦でした)、
その熱は伝染し、たまたま見つけた草サッカーのチームに入ってしまったんです。
(正確に言うと小学校のころはサッカー部。でも、「六三四の剣」の影響で中学から
剣道部でした)

で、久しぶりにサッカーをやってみたらこれがメチャクチャ面白い。
あのままずっとサッカー続けていればよかったなあ、と後悔してもしょうがないので、
それから毎週仕事のない土日は、サッカーに明け暮れる日々が始まりました。

最初は「エンジョイチーム」と言われる、楽しんでやることを目的にその時に
集まったメンバーで練習や試合をやるチームに入りました。
場所は江戸川の河川敷。常に風が強く、グラウンドの水はけも悪いけど、
今でも東京に戻ったときに試合に混ぜてもらう、大切なホームです。

そのうち物足りなくなってきて、もっとガチンコの公式戦に出たいと思うようになり、
クラブチームに参加することになりました。
多いときは、同時に4チームに入り、区リーグや都リーグに出場していました。

いちばん最初の練習試合で、競った相手と顔面を骨折して救急車で運ばれたり、
一日に35分ハーフの試合を二試合掛け持ちし、全身がつって負傷交代したことも
あります。冒頭に挙げたとおり、怪我も絶えないし、腰に持病を持ってしまったし、
顔面骨折してからヘディングが怖くてしょうがないし、太ももが異常に発達して
競輪選手みたいになるし、フォワードなのに決定力もたいして向上しませんが、
それでも楽しくてしょうがありません。

サッカーによって、僕の人生はずいぶん救われたと思います。

チームに入るごとに色んな世代の仲間を増やすことができたし、九州に行くことが
決まったときも、住まいよりも先に入るチームを決めていました。
(そもそも電通九州に入るときの面接がちょうど、ドイツワールドカップ前で、
仕事内容とか条件とかはほとんど話さず、どこの国が優勝するか、とかサッカー部に
入った場合には背番号は何番をもらえるのか、とかそんな話ばかりをしていました)

そんな調子だから、友達がまったくいない状態で九州に来ても、
いっしょにサッカーをすることで、すぐになじむ事ができました。
今も、福岡市リーグのクラブチームと、会社のサッカー部に入っていますが、
日本中いや、世界中どこに行っても「サッカー」「フットボール「カルチョ」
・・・といった単語を知っていれば、出会った人とつながることができます。

ある時、お父さんが亡くなったチームメイトが、お葬式の前に試合に来ていて、
びっくりしたことがあります。彼はいつもと変わらずプレーし、喪服に着替えて、
お葬式に向いました。
きっと、サッカーが救うものは、人によってたくさんあるんだと思います。

僕も三十を越え、いつまでサッカーができるかわかりませんが、体力・気力の続く限り
ボールを追いかけたいなあ、と思う今日この頃です。
あきらめずに続けている限りは、昨日よりちょっとはうまくなれるかもしれない。
カズやゴンまではまだまだです。

ちなみに、電通には五地区戦という、北海道、東京、中部、関西、九州の五地区の
サッカー部対抗のグループ内サッカー大会が存在します。会場は毎年順番に各地区で
持ち回りなのですが、来年はついに九州開催なんです。地元開催の大会でゴールを
決めたい、下手は下手なりに、頑張ればなんとかなるかもしれません。

来年はクラブチームを移籍し、もう一度基礎からみっちりサッカーをやるつもりです。
一緒にやってもいいよ、という方がいたらご連絡ください。
特に、電通九州サッカー部ではセンターバックが出来る方を真剣に探していますので
よろしくお願いします。学生プロレス出身の優秀なGKもいます。

仕事以外にこんな生き甲斐があることを、僕はとても感謝しています。

あまりコピーとは関係ない話ですいません。
ところで、TCCにはサッカー・フットサルチームが無いそうなので、
TFC(TCC フットボール クラブ)
をつくるというのはどうでしょうか。東北新社さんみたいですが。
いちばんの問題は、僕が九州にいるためあまり参加できないであろう、
ということですが、それはそれとして、ぜひ・・・。

明日は、Nさんの話をします。

何かご意見・ご要望・サッカー談義等がありましたら、
masahiko.katsuura@dkj.dentsu.co.jp まで。

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