リレーコラムについて

死闘

佐倉康彦

やっと、なんとか、ここまで辿り着きました。撮影と打ち
合わせの合間に、なんとかやっつけてしまおうと思います。
ダラダラ書き垂れ流した与太話に、これまでお付き合いく
ださって、本当にありがとうございました。感謝、感謝で
ついに最終回です。

「じゃあ、点滴の用意しますからー、着替えて待っててく
ださいねー」そう言いながらアコーディオンカーテンを閉
めるその刹那、看護婦さんの口元が微かに歪んだように見
えました。天使は、やはり看守に豹変していました。個室
で和みたいという僕の目論見が音を立てて崩れてゆきます。
とにかく、これを病室と呼ぶのかというくらい悲しみに満
ちあふれた空間です。錆びたベッド、今時珍しい緑色の小
型冷蔵庫、そしてネズミ色のロッカーとその中に掛けられ
たクリーニング屋の針金ハンガー。そして、トドメは窓の
ない三方を壁で囲まれた檻のごとき空間。侘びしさと寂し
さと切なさが、僕の心の隙間を一挙に吹き抜けてゆきます。

呆然としながら、僕は地方のサウナとかにあるツンツルテ
ンの羽織に着替えて点滴を待ちます。その間に僕はケータ
イを取り出し、会社の若い衆に連絡を入れました。入院す
る旨を伝え「替えのパンツと歯ブラシと石鹸とアブラ顔用
の洗顔フォームも持ってきてほしい」と頼みました。まる
で、拘留された第893業のお兄さんと弟分の会話です。
受話器の向こうで絶句してる若い衆。「そ、それで、明後
日のプレゼンの方は?」僕の身体よりプレゼンのことを心
配しています。「大丈夫、今夜一発点滴打って明日は会社
に出るって」平静を装いつつ応える僕。そんなやり取りの
後、若い衆にあれこれプレゼン準備の指示していると、天
使から看守に変わってしまった例の甲高い声が…。「何し
てるんですか!病院でケータイが禁止されていることなん
て常識でしょ!」看守が点滴の袋とそれをぶら下げるスタ
ンドを持ったまま入り口で激昂しています。「スッ、スミ
マセン!」裏返る僕の声。「佐倉サン!どっ、どうしたん
ですか?」「もしもし?もしもし?」異変を察知した若い
衆の上擦った声を聞きながら、僕はケータイの電源を静か
に切りました。看守は、ぶっ太い点滴用の針をちらつかせ
ながら僕に迫ってきます。僕は、腕をまくった方の拳をギ
ュッと握り締めることしかできませんでした。戦いが、今、
まさにはじまろうとしています。
                 (やっぱり…未完)
その後に起こった「夜の脱走事件」「マック差し入れ事件」
「シャワー室監禁疑惑」「マドンナ登場」「幽霊騒動」な
どなど、僕の筆舌に尽くしがたい戦いについては、また今
度の機会にしたいと思います。

で、つぎのコラムなんですが、はじめは、児島令子姉御に
お願いしようと思ったのですが、まだ児島姉御のオフィス
のIT革命が進んでいないとのことでダメでした。
そこでついに登場です。と言っても、まだ連絡が取れず御
本人の了解も取れていないのですが、前田知巳兄にお願い
しようと思っています。
もしかしたらダメかも知れないのですが、こうやって既成
事実をつくっちまえば、こっちのもの。これいう嫌なヤツ
なんです僕は。というわけで来週は誰になるんでしょうか。
ほな、さいなら。

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