リレーコラムについて

刃物ヶ崎山とコピーライター

張間純一

オリジナルな登山は可能でしょうか?

大学生の時はそんなことばっかり考えてました。

関西電通の張間純一です。

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誰もやったことがないような登山がしたいと思っていました。

最初のうちは、誰も登ったことがない山を登りたいという思い。
ところが日本にはそんな山は(たぶん)もうないので、
次は、誰も登ったことのない壁を。
ところが日本にはそんな壁は(たぶん)もうないので、
次は、誰も登ったことのないラインや誰も登ったことのない季節に登ること・・・

そのうち気がつきました。

でも、そういう高きを難しきを求める登山って、
誰かが想定した道筋の延長線上にあることでしかないんじゃないか。

もちろん難しいことを成し遂げるのはすごいことなんですが、
ぼくはぼくにしかできないような方法で、
ぼくにしか行けないようなところに行きたい。

そう思って行った山が、
2007年のコピー年鑑の新人賞のコーナーで書いた行程図です。
(ご覧になれない方、すみません。
 どうせご覧いただいてもわからないようなマイナーなところです。)

入山前に決めていたことは、
・最大22日間山の中にいる。だから22日分の食料を背負う。
・山を線ではなく面で楽しむために、進むルートははっきりとは決めず、
 思いのまま進めるルートを進む。
・エリアは新潟と群馬の県境と奥利根湖の間。
・満足したら途中でやめていい。
・いち動物としての勘を最大限使う。
・死なないで帰ってくる。
ということでした。

結局、10日の間で会った動物は奇特な釣師2匹(20秒くらい遠目で)だけ、
水を求めて崖を下ったり、蛾の羽音とカモシカのうなり声を勘違いしたり、
おそらくもう2度と誰も踏まない場所の土を踏んだりして、
体力とやる気勝負、自己満足にフィールドをうろうろするという登山が完成しました。

—–

広告でも同じようなことを考えています。

つまり、高きを難しきを求めるようなコピーを目指すんじゃなくって、
ぼくにしかできないような広告の方法ってないのか探したいと思っているのです。

コピーって、よりかっこよくとか、より面白くとか、表現の矛先は違うけれども
なんとなくみんなもっとうまくなりたい、遠くへ到達したい、というような
感じがするんです。ぼくが勝手に感じがするだけですけど。

それを追求するのもすごいししんどいでしょうし本当はやってみたいんだけれども、
でもぼくとしてはそこから外れたことがしたいんだよなあと思って、
それでできた広告が、今年の3月22日に朝日新聞の大阪版で実施された、
「朝日新聞、動く。」という広告です。
(ご覧になれない方、すみません。
 新聞広告が古典的アニメーション技術をアレンジした方法で動画になったのです。)

そのときはコピーを書いた時間の数百倍をひたすらアニメーションの技術を
研究することに費やしました。コピーを書くよりそういう研究をする方が
好きだし向いてるんじゃないかと安易に思ってしまうくらい楽しい時間でした。

—–

そんなぼくがコピーライターの集まりでコラムを書いてていいんでしょうか?

いいんですよね。

本当に?

う〜ん。

—–

奥利根について語りあえる方、探しています。
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