リレーコラムについて

怒られたこと

安路篤

一年ほど前、電通に行っちゃったコピーライター石田文子と、
大広の2年目コピーライター山口真理子と
三人で昼飯を食べた。  表参道の、とあるカフェで。
僕たちは普通に騒いでいた。そう、いたって普通だったと思う。
ちょっとはしゃいで、コースターで遊んでいたりしたかも知れない。
すると突然、僕の後ろから、紳士風のおじいさんが
「君たちだけじゃないんだよ、ここは。 静かにしてくれ!」
みたいなことを言ってきた。マジ顔だった。  ゲゲッ!
僕は最初、店のオーナーに注意されたのかと思ったが、
怒っていたのは、真後ろの客だった。 全然、気がつかなかった。
一気にしらけムードになり、僕はムカッとしていた。
そんなにうるさかったのか?
山口は言った。「ここ、スポーツカフェですよ、なんで?」
普通に騒いでいたつもりが、度を超していたのか・・・・
我慢して静かに食事をしていると、その客は妙に丁寧に、
「ありがとう、静かにしてくれて」みたいなことを言って、去っていった。
石田が、「ヤスジイといると、いつも怒られるねん」と言った。
身に覚えがない。石田といて、いつこんな風に怒られたのか・・・?
謎だ。 うるさかったのは事実だと思うが。
いい歳こいて、怒られてしまった。

今年の冬、僕はチームで某ラーメン屋さんのプレゼンをやっていた。
打ち合わせを繰り返し、夕飯はコンビニ弁当になることが多かった。
いつものように会社の下のコンビニへ行くと、
そこには女子高生軍団が!
「これ、よくなくない? 超うける! マジうまいかも!」
面白い! 素晴らしい! ゾクッとする新鮮な響き!     
ちょっとテーマからそれるが、
10年ほど前の、奈良ロケを思い出した。奈良の大仏を丁重に撮影して
いる時だった。修学旅行の女子高生たちが、大仏を指さして言った。
「かなりデカくない?」  衝撃が走った。女子高生、恐るべし。
そんな楽しい女子高生言葉がいま、コンビニ中に飛び交っているでは
ないか!僕は、我を忘れて真似をしていた。
「よくなくない? 超うけるって! マジすっごーい!」
すると、また後ろから声がした。新人コピーライターの戸舘(とだて)だ。
「口に出してんじゃねえよ! 殺すぞ、コラ! 恥ずかしいだろ!
やめろって言ってんだろ! 口に出すなあああ!」
僕は最初、彼が女子高生に向かって言ってるんだと思った。
でも、シャイ?な彼は半ギレになりながら、20才も年上のバカな僕に
言っていたのだ。 唖然としたが、彼の素のリアクションに
僕はまったく腹が立たなかった。
ものすごく口汚く、怒られているのに、である。 感動すら覚えた。
生まれて初めての体験だった。  ありがとう、戸舘くん!
この話は作り話ではない。 脚色もない。 証人がいるのだ。
さっきの山口真理子だ。 彼女も、現場にいて超びっくりしていた。

さて、長ったらしい僕の話も、これでおしまい。
彼とは、去年あたり?宣伝会議で出会った。
僕が、あるクラスのグラフィック担当で、彼は電波担当だった。 
僕がいつものくだらない病気の話をすると、
彼は相当面白いツッコミを入れてくれたような気がする。
想像通り?想像以上?ヤンチャで面白そうな人だと思う。
今、まだハワイだと思うが、月曜には日本に帰って
このコラムを担当してくれるはず!
高崎くん、よろしくお願いします。

安路篤の過去のコラム一覧

2209 2008.04.25 怒られたこと
2208 2008.04.24 電車の中
2207 2008.04.23 脳に素直に
2206 2008.04.22 恐怖の手続き
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NO
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