リレーコラムについて

ジョギングブーム!

小野仁士

先週ここで土井隆史さんが書かれていたのを読んで
思い出しました。自分にジョギングブームがあったことを。

きっかけは、ハートレートモニターでした。
ハートレートモニター? それは、心拍計のこと。
もともと、ガジェット(=目新しい道具、面白い小物、
携帯電子機器)好きな自分にとって、ブームの起爆剤になるには
十分なおもちゃでした。

ジョギング用の心拍計があるんです。
最大心拍数の目安は「220-自分の年齢」とされているので、
その最大心拍数の60%〜80%になるように速さを調節しながら走ります。
それが脂肪燃焼など、身体にいいとされる数値みたいです。

ぱっと見は、ちょっと大き目のデジタル腕時計。
トランスミッターという心拍センサーが付属していて、
それを胸に巻いて走ります。そうすると、リアルタイムで
腕に付けた心拍計に心拍が送られて、データが記録されるんです。

パソコンにデータ転送もできて、
付属の専用ソフトを使えば、毎日のタイムや心拍の変化、
消費カロリーなどが管理できてモチベーションを保てます。
Nike+iPodの心拍版みたいなものですが、
そのときは、Nike+iPodはまだありませんでした。

走ったあとは、心拍計をPCに接続。
毎日の変化が目に見えるし、自分なりにちょっとずつ
タイムがよくなっていくのがわかると、継続できるもの。
自分の場合、ご飯がおいしくなるとかよりも、
機械と人間の融合感というか、機械によってモチベーションが維持される
人間心理の不思議さが、さらにモチベーションになっていたというか。
自分で自分を実験していた面白さとでもいうのでしょうか。

休みの日などにごそごそとやっていると
「また始まったか。今度は何や?石鹸のつぎはジョギングか?」と
遊びに来た彼女が、なんちゃって関西弁で突っ込みを入れてきます。
「今回は、いつもとちゃうんや。
ジョギングはブームやのうて、ライフワークやさかいに」と切り返します。
ほんとに自分でも、ジョギングは続けられそうだな、と思い始めていました。
そのあと、あんなことになるまでは。

子どもの頃はスポーツ万能だったのですが、
中学、高校と進むにつれ、運動からどんどんから遠ざかり、
人生の途中から、スポーツに関して完全にヘタレです。
身体を動かす時間があったら本読みますよ、
映画見ますよというタイプ。

そんな20年近く運動してない人間が、取りつかれたように
走りだしたら身体が悲鳴を上げます。
たぶん3、4ヵ月間、忙しくて睡眠不足のときも、ほぼ毎日、
少なくとも2日に1度、5キロ〜6キロを走ってました。

そして、ある朝起きると片方の耳がほとんど聞こえませんでした。
突発性難聴でした。浜崎あゆみさんも突難(とつなん)のようですが、
この病気は原因不明みたいです。聴覚を酷使する以外にも、
過労、ストレス、睡眠不足が引き金になる場合も多いらしい。
治療が遅れると聴力が戻らない場合もあるみたいですが
自分の場合は、なんとか戻りました。

そんなわけで、
めずらしく熱中状態だったにもかかわらず、
意外なカタチでジョギングブームは去っていきました。
今は怖くてちょっと走れません。
ポラールのハートレートモニターS610iは、
部屋のどこかで眠っています。

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