リレーコラムについて

「この人、コピーライターの卵なの」

小野仁士

新卒で入社した大阪の広告制作プロダクションを辞めて
東京の広告制作プロダクションに入るまで、
2年くらいプータローしていたときに言われた言葉。

「この人、コピーライターの卵なの」

女の子と飲みに行くことになって、
その子が「私の友だちも誘っていい?」となり、
その女友だちへ紹介されたときの言葉。

いやいや、卵じゃないし!
もうとっくに孵化してるし!
今は確かにプータローだけど、まだ仕事探してないし、
渡り鳥が羽根を休めてるだけで、またすぐ飛び立つし。
なんで「卵」…?

広告の業界って、一般の方からすると
そう簡単には入れないイメージの
別世界のことなのかもしれません。

そのプータロー時代、別の人からも

「あなたコピーライターになるのが夢なんでしょ。
夢、応援してるからね。」

と言われたことがあります。

いやいや、夢じゃないし!
もうコピーライターになってるし!
(以下、同文)

さらに、まだ京都にいるとき、
新卒で広告制作プロダクションから内定いただいて
広告業界のこと勉強しておかないとと思い
京都・河原町の大きな本屋に行ったら地元の友だちとばったり会って、
「広告の本を買いに来た」と説明したら、

「おまえ、またそんなこと言うてんの?
そろそろマジメに就職活動したほうがええで」

とも言われました。

確かに学生時代、まわりに広告業界を
目指してるやつはゼロでしたし、
もし目指すとしても99%営業職志望というのが
当たり前の環境でした。自分の場合。
なので、まわりの人からすると
「こいつ、なに夢語ってんねん」
ということだったんでしょうね。

制作職は打ち合わせで
みんなでうんうん唸ってるか、
自分の机にかじり付いて企画考えてるかの
地味な仕事ですが(少なくとも自分は)、

世の中のイメージは芸能人と出会えたり、
海外ロケ行ったり、自由に派手に生きてる感じの
華やかな世界という幻想がまだまだあるんでしょうか。
令和の時代、コピーライターって、
どれくらい憧れの職業なんでしょうか。

そういえば、
前の会社のCDは有名テレビキャスターさんと
結婚されていたらしいですし、
前の会社で隣の席だったコピーライターは
人気局アナさんと結婚してましたね。
あれ、めちゃ華やかな世界やん。

 

「今でも覚えてる、あの一言(仕事編)」その2
おわり

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