リレーコラムについて

アイデアを通すためのアイデア (3)「実験」篇

國武秀典

今回はTVCM企画のプレゼンという前提でお話をします。

私はオリエンが来るとすぐに考え出すのではなく、その前に少し準備をします。
同業他社CMの素材集めです。
お菓子なら全国のお菓子業界の。
ホテルなら全国のホテル業界の。
百貨店なら全国の百貨店業界の。
北海道から沖縄まで全国津々浦々のCM素材を集めます。
会社のデータベースから、ライブラリー屋さんから、オンエアをRECしたり。
無作為にとにかく集めまくります。
そこで「全国の●●●業界・コマーシャル選集」が出来上がるわけです。
これを一体何のために使うかといいますと・・・
プレゼンの冒頭で使います。

「ご提案をさせていただく前に、まずは業界研究のために全国の同業他社CMを
集めてみましたのでご覧ください」
退屈しないくらいの4〜5分程度。全国の同業他社(ローカルのCMは滅多に
見られない)CMをセレクトしていますのでかなり興味深く見てもらえます。
視聴後すぐに今見ていただいたCMクイズをします。
「たった今見ていただいたCMを簡単なクイズにしてご質問させていただきます。
ものすごく簡単なクイズです・・・」

「モンドセレクション金賞三年連続で受賞されていた会社の名前は?」
広報担当の方いかがですか?「・・・(汗)」
「タレントさん●●●が美味しそうに食べられていた商品の名前は?」
お隣の方いかがでしょう?「・・・(汗汗)」
「●●産の粒あんにこだわりました。とナレーションされていた
饅頭のお菓子メーカーはどこ?」
部長、今見ていただいたばかりですが。「・・・(汗汗汗)」
「●●●という会社の企業スローガンは?大きな級数で
ドーンとアピールされていましたよ」
社長いかがですか?「・・・いやぁ、意外と覚えていないもんだなぁホホホ・・・(笑)」

担当者から順に偉い方まで(社長まで)、視聴者疑似体験をしてもらうわけです。
緊迫ムードが一変、互いに和気あいあいムードが広がりプレゼン冒頭の掴みとなります。
これの実体験(実験)がとても大切なんです。

そして私は話を続けます・・・
「かなり前傾姿勢で画面に注目しながら見ていただいたと思いますが、
そもそもCMは身構えて見るものではありません。ながら視聴がほとんどです。
そんな態度の生活者に広告を能動的に理解しようとする姿勢や時間は期待できません。
そんな状況において奇麗ごとや自慢(手前味噌・自己満足)広告や
一方的にセールストークを詰め込んでもトイレタイムにされるだけ、
お茶の間の反応は期待できません。

ポイントは2つ。
1、自慢話はNO!
チャーミングで人間的なものユニークなものにお茶の間は注目し共感を覚えます。
2、1CM・ワンメッセージの徹底!
言いたいことをあれもこれもと欲張るほど内容が薄まる上に記憶に残りません!
=CMはお茶の間目線で考えることが大切。(今、お感じになった通りです!)

この実体験後の良いところは、
「もっと商品説明を入れてくれないか。」
「タレント自身の言葉で言わんと届かんじゃないの?」
「もっとキャッチフレーズを大きく入れてくれ、もっと企業ロゴを大きく長く。」
なんてナンセンスな議論にならないことです。
もっと根本的な別次元な議論ができるようになります。
競合コンペであれば、他社のご提案される「接待CM」は
間違いなく陳腐に見えてくるでしょう。
純粋に良い企画、人をひきつける企画、ユニークな企画、シンプルで強い企画を
選ぶことに専念していただけることです。
私は、「お茶の間」をプレゼンに持ち込みます。

明日は
アイデアを通すためのアイデア (4)「駄目押し」篇について書きます。

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